横河電機グループのITサービス会社であるワイ・ディ・シー(YDC)は2012年3月12日、中堅企業向け予算管理パッケージ「サキヨミ mini」の提供を開始した。日本オラクルの予算管理ソフト「Hyperion Planning」に独自開発のテンプレートを追加し、導入を容易にした。「Hyperion Planningの導入に通常は半年以上かかるが、サキヨミ miniを使えば最短3カ月で導入できる」(YDC)とする。

 サキヨミ miniは年間売上高が100億~1000億円の中堅企業を対象に、(1)人員・経費・売り上げの計画策定をはじめとする「予算編成」、(2)計画通りに進んでいるかを管理する「実績」、(3)今後を予測する「見通し」といった機能を提供する。各機能は基本的にHyperion Planningで実現しており、使用する多次元データベースの設計情報や、20種類の画面、12種類の帳票などをテンプレートとして提供することで、導入にかかる手間を削減している。

 同製品を利用すると、予算管理の作業を効率化できるほかに「計画や予測の精度向上につながる」(YDC)としている。予算管理は現状、Excelのような表計算ソフトを使うケースが多いが、「手作業が多く、予測に必要な分析も困難」(同)。サキヨミ miniはERP(統合基幹業務システム)パッケージと連携し、多次元データベースを中核とするBI(ビジネスインテリジェンス)機能も備えており、「日次で実績を管理し、その情報を基に組織別や経費科目別に分析して月次で見通しを出す」といった作業が可能になるとしている。

 YDC自身も2010年にHyperion Planningを利用して予算管理システムを構築。この経験から得たノウハウを基にテンプレートを作成した。自社で導入した結果、予算編成に要する期間を従来の半分から3分の2に短縮できたほか、コストも削減できたという。「予算編成にかかる期間が短くなると、最新の実績に基づいて計画を立てることができ、結果的に精度が上がる」(YDC)。レポートは担当者自らが作成でき、YDCで利用している200種類のレポートは経営管理部の担当者が作成したという。

 Hyperion Planningは国際化対応しているので、「グローバルにビジネスを展開する中堅企業からのニーズに合う」(YDC)。IFRS(国際会計基準)対応についても、「事業部ごとに予測できるという点で基盤作りに役立つのではないか」(同)とみている。サキヨミ miniの価格は1980万円から(ハードやOS周りのライセンス料などは含まない)。この金額は「Hyperion Planningを導入する場合のほぼ半額」(YDC)とする。販売目標は初年度10本としている。