写真1●日本テラデータで代表取締役社長を務める吉川幸彦氏
写真1●日本テラデータで代表取締役社長を務める吉川幸彦氏
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 日本テラデータは2012年3月9日、DWH(データウエアハウス)アプライアンスの新製品2機種を出荷した。ハイエンド機の新機種「Teradata Active Enterprise Data Warehouse 6690」ではストレージ構成を柔軟にした。ミッドレンジ機の新機種「Teradata Data Warehouse Appliance 2690」ではデータ圧縮性能を高めた。開発会社は米テラデータ。

 6690と2690は、いずれもDWH専用アプライアンスの新機種である。6690は、製品ラインアップの中でデータ容量と処理性能がともに高いハイエンド機である(データ容量は最大53ペタバイト)。大規模DWHの構築や既存のデータマートの統合などに適する。一方、2690はミッドレンジ機である(データ容量は最大512Tバイト)。

 日本テラデータ社長の吉川幸彦氏(写真1)によればDWH市場におけるユーザー需要は、大別して三つある。一つ目は、乱立しているデータマートを少数台に統合したり、データの持ち方を改善したりすることによって、運用コストや資源コストを削減すること。二つ目は、事業活動にデータをもっと活用すること。三つ目は、ビッグデータ(SQLデータベースに格納しにくいデータ)を活用すること、である。これらの需要に合わせて製品を投入するという。

ハイエンドは2.5インチ化でSSD/HDDを柔軟に混在可能に

 ハイエンドの新機種、6690が既存モデル(6680)と比べて新しい点は、ストレージを3.5インチから2.5インチに変更したこと。これにより、容積当たりのストレージ容量が増えたほか、単一のアレイ(ドライブ収容棚)にSSDとハードディスクを混在させられるようになった。アレイごとにSSDとハードディスクの割合を柔軟に組み合わせて運用できる。

 これにより、同社の動的ILM(階層型ストレージ)機能である「バーチャルストレージ」の設定が容易になる。前提となるバーチャルストレージとは、頻繁にアクセスするホットデータを高速なドライブセットに、あまりアクセスしないコールドデータを安価なドライブセットに自動的に移動させる機能である。つまり、あらかじめ、いくつかの階層のドライブセットを設計/設定しておく必要がある。ここで、6690では、SSDの割合などを容易に設定できる。

ミッドレンジはハードウエア圧縮で圧縮効率を約2倍に

 ミッドレンジの新機種、2690が既存モデル(2650)と比べて新しい点は、データ圧縮をソフトウエア圧縮からハードウエア圧縮に切り替えたこと。これにより、キャビネット当たりのデータ圧縮レートは、ソフトウエア圧縮(2650)の最大20Gバイト/秒から、ハードウエア圧縮(2690)の最大38.4Gバイト/秒へと倍増した。データ圧縮率やデータ圧縮/伸長の性能が高くなれば、それだけストレージからのデータ転送速度が向上する。

 価格(以下、税別)は、6690が1億5000万円から、2690が3500万円から。なお、新機種2製品に合わせて発表した周辺ソフトウエア群の価格と販売開始時期は、Teradataシステム間でデータをコピーする「Teradata Data Mover」が1200万円からで4月発売、システム全体の統合監視ソフト「Teradata Multi-System Manager」が2000万円からで6月末発売、複数DWHシステム間でクエリーのルーティングとデータの同期を実現する「Teradata Unity」が価格未定で9月末発売である。

SQL-MapReduceを年内出荷

 なお、2012年内には、SQLでMapReduce処理を実行できるようにするソフト「SQL-MapReduce」を出荷する。米Teradataが2011年11月に買収した米Aster Data Systemsの技術である。データに対して対話型に検索をかけられるようになるため、Hadoopが得意とするバッチ処理(データの収集/変換)とTeradataが得意とするデータ分析の間を埋める用途に利用できるとしている。