電子書籍アプリケーション「iBook」の画面例
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 米Appleと出版大手5社が共謀して不正に電子書籍の価格をつり上げた疑いがあるとして、米司法省(DOJ)が提訴を警告していると、複数の米欧メディア(Wall Street JournalReutersNew York Timesなど)が現地時間2012年3月8日に報じた。

 警告を受けたのはAppleのほか米CBS傘下のSimon & Schuster、フランスLagardere傘下のHachette Book Group、英Pearson傘下のPenguin Group、ドイツVerlagsgruppe Georg von Holtzbrinck傘下のMacmillan、米News Corporation傘下のHarperCollins Publishers。このうち数社は和解する方向で交渉しているという。

 今回の問題の中心は、Apple最高経営責任者(CEO)だった故Steve Jobs氏が2010年に最初の「iPad」を投入する準備段階で提案した「エージェンシーモデル」と呼ばれる課金方式。従来(紙媒体)の書籍の卸売りモデルでは、出版社は定価の約半額で書籍を書店に卸し、書店が自由に販売価格を設定できた。これに対し、エージェンシーモデルでは出版社が販売価格を設定し、Appleが売上高の30%を受け取る。またAppleは、競合の小売業者が同じ書籍をAppleより低価格で販売することがないよう出版社に要求していたとされている。

 欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)もAppleと出版社の間で価格つり上げの談合が行われていたかどうかについて調査していることを2011年12月に明らかにしている。このほかにも米国で集団訴訟が進められている。