写真●サイボウズの青野慶久社長
写真●サイボウズの青野慶久社長
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 サイボウズは2012年3月7日、企業向けクラウドサービスに焦点を当てたイベント「cybozu.comカンファレンス 2012」を開催した。「世界に通用する日本の企業クラウドを作ることが目標。サイボウズの初心である、『誰でも使える』ことを忘れず、世界中のチームワークを促進するためのクラウドを提供する」。基調講演に立った青野慶久社長は、こう基本方針を述べて、同社の新たなクラウドサービス「cybozu.com」をアピールした(写真)。

 青野社長は、「誰でも使える」という社是の下、cybozu.comの開発コンセプトを「Fast & Easy+Entertain」と説明した。「すぐに、気軽に使えること、簡単に使えること、そして楽しく使えること。これらを突き詰めるため、たどり着いた答えがクラウドだった」(青野社長)。

 今後のサイボウズは「クラウドで勝負していく」(青野社長)。一つめの開発コンセプトであるFastについては、「導入前のハードやソフトの導入作業や設定作業が、クラウドにすることで全く不要になる」(同)。cybozu.comの利用開始画面では、利用者登録をして利用するサービスを選ぶと、数分で完了。グループウエアサービス「Office」や業務アプリケーションの開発・運用のPaaSである「kintone」などを使えるようになることを示した。

 二つめのEasyについては、「経営者、システム管理者、利用者のそれぞれにメリットがある」(青野社長)。経営者にとってのメリットについては、初期費用が不要で、利用料金と運用料金は利用者の増減に合わせて「無駄なく支払うことができるようになる」とコスト面を強調。システム管理者のメリットとしては、バックアップやセキュリティ対策などの作業が不要になるため、「よりクリエイティブな仕事に時間を費やせる」と述べた。

 利用者にとっては、「サイボウズ製品は使いやすさを前面に出してきたが、まだ物足りない」と指摘。「Usability Lab(ユーザビリティ・ラボ)」と呼ぶ組織を設立して、利用者モニターを招いて使い勝手を検証・改善する取り組みを始めたことを明らかにした。

 三つめの開発コンセプトであるEntertainとは、「利用者に対するおもてなしの心」と説明。「セキュリティや災害対策の心配がないシステム基盤を提供し、将来に期待できる改良を続ける」とした。

 例えばデータセンターについては、日本国内に設置する。さらに情報セキュリティの国際認証である「ISMS」を取得したほか、「ハードやネットワークなど、システム基盤の全レイヤーで多重化を施している」。

 このほか、サイボウズは「cybozu.comフレンド」と呼ぶ紹介制度を、7月に開始することを発表した。cybozu.com上で提供するOfficeなどのサービスを、既存の顧客企業が他の企業に紹介すると、紹介元の企業がサイボウズからキャッシュバックを得られる制度だ。同制度によって、500社を超えたcybozu.comの導入企業数の増加に弾みをつける。