米Wall Street Journalは現地時間2012年3月6日、スマートフォンなどモバイル端末の特許をめぐる係争について、米Appleが、訴訟相手の米Motorola Mobility Holdingsや韓国Samsung Electronicsに対し、和解提案したと伝えた。Appleは自社の特許が不正に使われたとする競合製品の販売差し止めなどを求めているが、それらメーカーとライセンス契約を結ぶ意向もあることを示した。事情に詳しい関係者の話として同紙は、Appleが端末1台に付き5~15ドルの特許使用料を提案したと報じている。

 それによると、Appleは米Microsoftのようなライセンスプログラムを実施する予定はなく、ライセンス契約の相手はMotorolaやSamsungなどの特定のメーカーに限定されるもよう。Appleの狙いはライセンスビジネスではないと関係者は見ている。

 米Googleの「Android」搭載端末はすでに市場に多く出回っているため、個々の端末の販売を差し止めて、Androidを市場から閉め出すことはもはや現実的な解決策ではない。端末の製造コストを引き上げることでメーカーの開発意欲をそぐことができるライセンス契約が、訴訟終結の代替案として検討されていると記事は伝えている。ただし同紙はAppleと、MotorolaやSamsungとの協議が現在も続いているかは確認できていないとしている。

 Appleは2011年4月に、Samsungの製品が「iPhone」や「iPad」関連のデザイン特許、登録商標を侵害したとして、米カリフォルニア州の連邦地方裁判所に提訴した。これを受けSamsungも通信技術に関する特許がAppleに侵害されたとして提訴し、その後両社の訴訟合戦は世界に広がった。一方でMotorolaもAppleを相手取って特許侵害訴訟を提起、その後AppleもMotorolaのAndroid端末「Droid」などスマートフォンがAppleの特許を侵害しているとして反訴した(関連記事:AppleがSamsung「Galaxy Nexus」の販売差し止めを請求---米メディアの報道)。