YKKグループは国内事業会社の従業員1万7000人を対象に、現行60歳の定年を65歳まで延長することを発表した。現在運用している再雇用制度を、2013年度から順次定年延長に切り替え、2025年までに65歳定年を定着させる。これに合わせ2012年4月から「働き方変革への挑戦プロジェクト」を立ち上げ、人事制度やワークスタイルの抜本的な見直しを進める。政府が検討する年金支給開始年齢の引き上げをにらみ、働きたい社員全員が長く働ける環境の整備を急ぐ。

 同社では既に65歳までの再雇用制度を運用しているが、「本人の希望と会社側の需要が見合わなければ雇用を継続しないケースもあり、また再雇用契約によって報酬が大幅に下がるためモチベーションにつながりにくいなどの課題があった」とYKKの猿丸雅之代表取締役社長は話す。

 YKKと建材子会社YKK APの代表取締役会長CEOを務める吉田忠裕氏は「65歳定年は通過点。将来的には定年制の廃止も視野に入れる」と話す。65歳定年制度もできるだけ前倒しで完了したい意向を示した。

 同社は既に年功序列を廃した能力主義の人事評価制度を運用しているが、定年延長を契機に抜本的な見直しを行う。2012年4月から「働き方変革への挑戦プロジェクト」を立ち上げ、「年齢や学歴、性別、国籍などによる格差をなくした真に公正な人事制度を構築し、ワークスタイルの変革を進める」(吉田会長)。