写真1●Flexi Zoneの構成
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写真2●Flexi Zone Access Point
写真2●Flexi Zone Access Point
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 スペイン・バルセロナで開催中の「Mobile World Congress 2012」。大手通信機器ベンダーの展示は、LTEが商用フェーズに入ったこともあり、これまで見られたような速度競争から、キャパシティー向上技術、小セル化に伴う干渉抑制技術、インフラ設備、運用の効率化など、より踏み込んだ提案の競争へとフェーズが移りつつある。

 そんな中、フィンランドのノキアシーメンスネットワークス(NSN)は「Flexi Zone」というユニークなソリューションを展示している(写真1)。100個までの小セル局を、あたかも1個の基地局のように見せるソリューションだ。

 モバイルトラフィック増大に伴って、キャパシティーを改善するためには小セル化が欠かせない(関連記事)。セルサイズを小さくすることで、セル当たりの収容人数を少なくし、全体のキャパシティーをアップできる。

 ただ小セル化を進めるに従って、セル間の干渉が増えるほか、干渉を抑えるための置局設計が複雑化するデメリットがある。

 そこでFlexi Zoneでは、「Flexi Zone Access Point」(Flexi Zone AP)と呼ぶLTE、無線LAN、HSPAに対応した複数の小セル局(写真2)をコントローラによって集約し、ネットワーク側からはあたかも一つの基地局のように見せて、置局設計の複雑さを回避した。さらにFlexi Zone APとコントローラの間は、有線回線ではなく無線を利用するため、Flexi Zone APの設置は電源さえ用意すればよいという。干渉制御については、HetNetと同様にマクロセルとピコセル間で、スケジューリングを調整して回避する。ただ、このスケジューリング機能についてはHSPAには対応しないため、「HSPAの利用はオプションであり、あくまでLTE以降のシステム向けの技術」(NSN)という。

 またFlexi Zone APはアンテナ機能を持つだけで、ベースバンドユニットはコントローラ側に集約しているため、「無線のクラウド化によって、リソース配分の最適化ができる」(NSN)。

 同社では、マクロセルの中の高トラフィックの地域に対して、スポット的に効率よくこのFlexi Zoneを展開していくユースケースを想定している。この技術は近々トライアルを開始し、2012年の終わりには商用化したいとしている。

ニュースリリース