写真1●講演する米インテル社のボイド・デイビス氏(写真:中根 祥文)
写真1●講演する米インテル社のボイド・デイビス氏(写真:中根 祥文)
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写真2●米インテル社が掲げる「クラウド2015ビジョン」の概要(写真:中根 祥文)
写真2●米インテル社が掲げる「クラウド2015ビジョン」の概要(写真:中根 祥文)
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 「クラウドを推進するには、オープンスタンダードであることと、相互運用性を確保することが重要だ」。米インテル社の副社長で、データセンターおよびクラウド利用の課題と解決策を検討する団体「ODCA(Open Data Center Alliance)」の技術アドバイザーを務めるボイド・デイビス氏(写真1)は2012年2月29日、東京国際フォーラムで開催中のカンファレンス「Cloud Days Tokyo/スマートフォン&タブレット/ビッグデータEXPO」で講演し、このように語った。

 インテル社は、クラウドをベースとしたコンピューターの未来像を「クラウド2015ビジョン」として提言している(写真2)。同ビジョンは「連携」、「ITの自動化」、「クライアント認識」の3つの領域で構成している。「パブリック」なクラウドと「プライベート」なクラウドの使い分けが進む中で、両者の間でデータをやり取りできるようにする必要がある。クライアントの端末はPC以外にも広がっており、サービスもデバイスに応じて最適化しなければならない。すべてのユーザーや顧客を満足させられるサービスを維持するには、リソースの増減や故障対応、セキュリティ対策などが自律的に機能する仕組みが欠かせない。

アライアンスを組むことが重要

 こうしたクラウド2015ビジョンを推進するのが、冒頭の発言にある「オープンスタンダード」と「相互運用性」である。これらを実現するために、ボイド・デイビス氏は「アライアンス(協業関係)が不可欠」と強調する。アライアンスを組むのはメーカー同士に限った話ではない。「システムインテグレーターやユーザー企業と組んでこそ、真のオープンスタンダードと相互運用性に寄与できる」とボイド・デイビス氏は指摘する。

 そのアライアンスを推進するための団体が、ボイド・デイビス氏が技術アドバイザーを務めるODCAである。インテル社が提唱して2010年に設立された。現在100社以上のメーカーやシステムインテグレーター、ユーザー企業が参加しているという。既に様々なアライアンスが生まれているが、「ビジョンの実現に向けた道のりはまだまだ長い」とボイド・デイビス氏は話す。「まずはビジョンを実現するためのソリューションを考え、試している段階だ」。

 同氏は、日本企業も積極的にODCAへ参加するように呼びかけた。「データセンターに関する技術では日本で生まれたものも数多くある。こうした分野で日本がリーダーシップを発揮できるように、政府も積極的に支援していくべき」と語った。「ITは効率を高めるだけのものではない。経済を発展させ、イノベーションを生み出す原動力となるものだ」と、取り組みが日本の成長につながることを訴えた。