写真1●英ARMのブースで実施されている「big.LITTLE」プロセッシングのデモの様子
写真1●英ARMのブースで実施されている「big.LITTLE」プロセッシングのデモの様子
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●「big.LITTLE」プロセッシングの動作。写真右のグラフ部分を見るとbigとLITTLE側のどちらで処理しているかが分かる
写真2●「big.LITTLE」プロセッシングの動作。写真右のグラフ部分を見るとbigとLITTLE側のどちらで処理しているかが分かる
[画像のクリックで拡大表示]
写真3●英ARM Director of Mobile SolutionsのLaurence Bryant氏
写真3●英ARM Director of Mobile SolutionsのLaurence Bryant氏
[画像のクリックで拡大表示]

 2012年2月27日から3月1日までスペイン・バルセロナで開催されているMobile World Congress 2012(MWC2012)で英ARMは同社が2011年10月に発表した低消費電力と高性能を両立させる「big.LITTLE」プロセッシングのデモを実施している(写真1)。デモは実機ではなく、パソコン上のシミュレーションである。

 big.LITTLEプロセッシングとは、L2キャッシュを共有する高性能なマルチコア(現時点ではCortex A15)と、同じくL2キャッシュを共有する低消費電力のマルチコア(現時点ではCortex A7)を組み合わせ、システム負荷に応じてこれらを切り替えることで高性能と低消費電力を両立させるソリューションである(関連記事:低消費電力のCortex-A7、100米ドル以下スマホ実現の可能性も)。デモではAndroid搭載スマートフォンでの利用を想定。各世代のAndroid搭載スマートフォンの実機を並べ、Webページのレンダリングベンチマークである「BBench」を実行して処理性能などを比較している(写真2)。

 デモでは、(1)台湾HTCの「HTC Dream」(CPUはARM1136)、(2)米Motorola Mobilityの「Motorola Milestone」(CPUはCortex A8ベース)、(3)台湾HTCの「HTC Explorer」(Cortex A5ベースのCPU)、(4)韓国Sumsung Electronicsの「Galaxy Nexsus」(Cortex A9ベースのデュアルコア)を並べ、これらとの実行速度を比較。それぞれテスト結果は、13秒、6秒、3秒、2秒だったが、big.LTTELEプロセッシングのシミュレーション環境では2秒を切り、さらに「消費電力は70%も少ない」(ARM Director of Mobile Solutions、Laurence Bryant氏、写真3)という。

 big.LITTLEプロセッシングを実現するためには、OS側からCPUが切り替わっても同じに見えるようにするための仮想環境支援機能と「Switcher」と呼ぶミドルウエアが必要となる。このミドルウエアのサードパーティーへの提供は“間もなく”とのことで、ARMのパートナー企業からは「2013年にはSoCが出てくる」(同氏)という。