スペイン・バルセロナで開催中の「Mobile World Congress 2012」(MWC2012)では、スマートフォンの浸透によるモバイルトラフィックの急増にどのように対処していくのかが大きな話題になっている。
モバイルトラフィック急増の解決策の一つとして注目を集めるのが小セル(スモールセル)化だ。セルサイズを小さくすることで、セル当たりの収容人数を少なくし、全体のキャパシティをアップできる。そんな流れの中、2月中旬に「スモールセルフォーラム」と改名したフェムトセルの業界団体「フェムトフォーラム」(関連記事)が、2月28日にMWC2012の会場内で記者会見を開いた。
壇上に立ったスモールセルフォーラムのサイモン・サウンダース議長(写真1)は、「2012年の終わりには、フェムトセルの数がマクロセルを上回る。2016年には世界の基地局の90%がスモールセルになる」という調査結果を披露。世界の通信市場におけるスモールセルの重要性を強調した。
サウンダース議長がもう一つ強調したのは、スモールセルと無線LANネットワークの統合の流れだ。携帯電話事業者は現在、トラフィック対策として携帯電話網とは無線LANオフロード(関連記事)を急いでいる。今は既存の基地局と独立した形で無線LANエリアを拡大しているが、無線LANアクセスポイントとスモールセルの携帯基地局を統合したデバイスで置局していくことで様々なメリットが生まれるとする。サウンダース議長が挙げたのは、デバイスのコスト低下や、置局の簡略化、バックホールの統合化、柔軟なトラフィック管理といったメリットだ。
実際、スウェーデンのエリクソンは今回のMWC2012で、無線LANアクセスポイントとピコセルを統合した基地局を披露(写真2)。フィンランドのノキアシーメンスネットワークス、仏アルカテル・ルーセントといった大手ベンダーも、無線LAN技術と携帯網を統合化するようなソリューションを拡充している。