写真●講演するリクルートの米谷修MITシステム基盤推進室エグゼクティブマネージャー(写真:中根 祥文)
写真●講演するリクルートの米谷修MITシステム基盤推進室エグゼクティブマネージャー(写真:中根 祥文)
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 「技術の進化を踏まえて、3つのバランスをいかにうまく設計するかがクラウドを使いこなすうえで重要だ」。都内で開催中の「Cloud Days Tokyo/スマートフォン&タブレット/ビッグデータEXPO」で、リクルートの米谷修MITシステム基盤推進室エグゼクティブマネージャー(写真)はこう述べた。

 米谷氏はパブリッククラウドの進化を念頭に置いたうえで「オンプレミスとパブリッククラウドそれぞれに何を置くのか」「パブリッククラウドにシステムをどのくらい作り込むのか」「ユーザー部門のITリテラシーをどの程度高めるのか」のバランスをうまく取ることがクラウド活用の鍵になると指摘した。

 リクルートはこの3つのバランスを考え、パブリッククラウドでは開発環境やキャンペーン用サイトなどのシステム基盤に使うにとどめている。米谷氏は「オンプレミスで作り込んだ仕組みをパブリッククラウドにすべて移すのはまだ難しい」としながらも、「品質面などでパブリッククラウドの進化は著しく、カバーできる領域は広がっている」とした。

 米谷氏はクラウド事業者の選択基準についても言及。リクルートは「クラウドコントローラ」と呼ばれる仕組みで、あるクラウド事業者のサービス上に作り込んだインフラ環境をコピーし、別の事業者のサービスに簡単に移せる仕組みを構築済みという。

 「PCサーバーの登場で、後発のクラウド事業者にもシェアを伸ばすチャンスが生まれている。特定の事業者だけに決め打ちしていては危険だ」(米谷氏)。リクルートでは年1回程度、クラウド事業者から提案を募り、価格が一番安い事業者を選ぶようにしている。

Hadoopを40サイトに導入

 米谷氏はビッグデータへの取り組みにも触れた。リクルートはオープンソースの分散処理ソフト「Hadoop」の導入を積極的に進めている(関連記事)。2012年4月から本格運用を開始する予定で、既に11事業、約40サイトへ導入している。

 Hadoopなど新技術に取り組む際に、米谷氏は「実際のビジネスでどう使うのか」という出口設計を重視しているという。「調査や技術検証の段階からビジネスでどう活用するのかを意識していないと、結局使ってもらえない」(米谷氏)からだ。