写真●左から、味の素 五十嵐弘司 取締役常務執行役員、NRIシステムテクノ 代表取締役社長に就任予定の現NRI 山田浩二 常務執行役員、NRI 沢田ミツル専務執行役員
写真●左から、味の素 五十嵐弘司 取締役常務執行役員、NRIシステムテクノ 代表取締役社長に就任予定の現NRI 山田浩二 常務執行役員、NRI 沢田ミツル専務執行役員
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 味の素と野村総合研究所(NRI)は2012年2月28日、味の素が100%出資するシステム子会社「味の素システムテクノ(AJITEC)」の発行済み株式の51%を4月1日付でNRIに譲渡すると発表した。AJITECは同日付で「NRIシステムテクノ」に社名変更し、NRIの子会社となる。譲渡額は非公表。採用内定者含むAJITECの従業員(2011年3月末時点で344人)は、NRIグループへ移籍することになる。

 AJITECは味の素のシステム開発と運用保守を手掛ける。同社をNRIの子会社化することによって、味の素は「社員の技術力を高め、事業競争力を強化する」(五十嵐弘司 取締役常務執行役員)。一方のNRIは味の素のシステム関連業務の継続的な受注と「食品業界向けシステム事業の強化を目指す」(沢田ミツル専務執行役員)。NRIは長期経営ビジョンの中で産業関連分野での事業拡大を掲げている。

 ユーザー企業がコスト削減などを目的にシステム関連会社をITベンダーに売却する動きは、1990年代後半から2000年代初めにかけて相次いだ。だが、ユーザー企業にとっては「特定のITベンダーに囲い込まれることになり結果的にIT関連コストが高止まりする」「当初の想定ほど従業員の技術力を強化できない」といった問題に直面したケースが少なくなかった。

 NRIの沢田専務は「当時の提携はリストラの色合いもあったが、今回は異なる」と述べ、「味の素とNRIで双方の人材交流を行い、互いにノウハウを吸収する」と強調した。

■変更履歴
AJITECの従業員数に関して説明を補足しました。[2012/2/28 23:00]