日本ヒューレット・パッカードの山口浩直 執行役員 ストラテジック・テクノロジー・オフィサー(写真:中根 祥文)
日本ヒューレット・パッカードの山口浩直 執行役員 ストラテジック・テクノロジー・オフィサー(写真:中根 祥文)
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 「パブリッククラウドやプライベートクラウドを自由に融合させる『ハイブリッドデリバリ』に、今後は注目してほしい」――。2012年2月28日、「Cloud Days Tokyo/スマートフォン&タブレット/ビッグデータEXPO」」の講演に登壇した日本ヒューレット・パッカード(HP)の山口浩直 執行役員 ストラテジック・テクノロジー・オフィサーは会場に向かって力強く呼びかけた。

 「将来を見据えたHPのクラウド・イノベーション戦略」と題した同講演では、クラウドの本格導入時代に向け、「セキュリティ」や「ビッグデータ対応」といったキーワードに基づき、HPが持つクラウド関連製品の強みをデモを加えながら紹介した。

 山口執行役員が定義する「ハイブリッドデリバリ」とは、パブリッククラウドやプライベートクラウド、従来の企業システム環境を最適な形で組み合わせて、社内にITサービスを提供することだ。ハイブリッドデリバリの環境へ移行するため、「IT基盤や運用を標準化して統合していくなど、段階的なロードマップが必要になる」(山口執行役員)。

 ここで同氏が強調したのが、HPの製品群の強み。パブリックとプライベートのクラウドサービスを管理する司令塔の役割を担う「HP CloudSystem」と呼ぶ製品から、ストレージ、コンテナ型データセンター、サーバーまでを幅広く、HPだけでカバーしているとした。さらにクラウド時代に向けたサーバー製品として、「MOONSHOT」と呼ぶ、大幅な省電力や省スペース化などを実現した新型サーバーを「今年中に出荷する」と話した。

 クラウドの課題であるとされるセキュリティについても、HPの社内で採用していたり、世界で数千社が導入していたりするセキュリティソリューションを紹介した。アプリケーションのソースコード分析により脆弱性を検知する製品や、複数システムのログを相関的に分析することで社員の不正を検知する製品などをHPが持っていることを強調。同社はソフトウエアの脆弱性研究で先進的な取り組みをしており、「ソフトの脆弱性を他社よりも8~10倍多く発見している」(山口執行役員)とアピールした。

 ビッグデータ対応については、買収したばかりのソフト会社Autonomyの製品を取り上げた。「これはビッグデータ時代を見据えて仕掛けた、戦略的な買収だった」(山口執行役員)とその意義を強調。同製品は、大量に増え続けるメールや画像など非構造化データの分析や検索、形態認識を可能にする特徴を持つという。

 山口執行役員は、「これまで活用されていなかった非構造化データを分析し可視化することで新たな競争優位を生み出せる」と、あらゆる企業でビッグデータ対応が求められていると断言。メルセデスがF1レースにおいて車載カメラのデータをAutonomy製品を使って分析したり、全日本空輸が同ソフトで国内線チケットの販売データを解析したりしている事例を紹介した。