写真1●ノキアシーメンスネットワークスのラジーブ・スーリCEO
写真1●ノキアシーメンスネットワークスのラジーブ・スーリCEO
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写真2●Liquid Netに新たに加わった製品・ソリューション群
写真2●Liquid Netに新たに加わった製品・ソリューション群
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 「2020年には、モバイルブロードバンドの平均的ユーザーは1日に1Gバイトのデータトラフィックを使うようになる。モバイル事業者は、データを効率的に収容し、利益を生むようなネットワークを構築する必要がある」--。フィンランドの大手通信機器ベンダーであるノキアシーメンスネットワークス(NSN)のラジーブ・スーリCEO(写真1)は、「Mobile World Congress 2012」の開幕前日である2012年2月26日にメディアおよびアナリスト向けに会見を開き、このように予測した。

 スーリCEOによると、1ユーザーが1日に1Gバイトのデータトラフィックを生む時代になると、これまでの10倍のセル数、10倍の周波数帯、10倍の周波数利用効率が必要になるという。こうした要求に対し、モバイル事業者は急速にLTEへの移行を進めつつあると続ける。スーリCEOは、世界で49事業者がLTEの商用化展開を進めており、そのうち、22の事業者が同社の機器を利用しているとアピールした。

 同社が昨年9月に発表した「Liquid Net」という製品・ソリューション群についても、新たなネットワーク時代には必要になると強調する。Liquid Netは、基地局のベースバンド部分を集中化し、“クラウド”的にリソースを最適化する「ベースバンドプーリング」機能や、アクティブアンテナシステムなどで構成する。今回のMWCに合わせて強化しており、小セルを相互に接続しネットワーク側からは一つの大きなセルに見える「Flexi Zone」や、コアネットワークの運用を自動化する自己管理ネットワーク「SON for Core」(SON:Self Organizing Network)などの機能を追加している(写真2)。

 もっとも先進国の景気低迷が続き、各国のモバイル事業者の設備投資の動きが鈍る中、通信機器ベンダー各社は厳しい状況に置かれている。NSN自身も、ノンコアビジネスの切り離しなどによって2013年までに1万7000人の従業員を削減する計画を2011年11月に発表。スーリCEOは「NSNはモバイルブロードバンドのスペシャリスト」とし、モバイルブロードバンド分野に注力していく姿勢を強調した。

「Flexi Zone」のプレスリリース

「SON for Core」のプレスリリース