写真●「中小企業IT経営力大賞2012」表彰式
写真●「中小企業IT経営力大賞2012」表彰式
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 経済産業省は2012年2月24日、優れたIT経営を実践している中小企業を表彰する「中小企業IT経営力大賞2012」の表彰式を開催した。応募数180件の中から、経済産業大臣賞や日本商工会議所会頭賞など23件が選ばれた(写真)。

 「大賞」の位置づけとなる経済産業大臣賞を受賞したのは、精密機械器具製造業のメトロール(東京都立川市)、生産用機械器具製造業の小林製作所(石川県白山市)、ワイン輸入卸売業のモトックス(大阪府東大阪市)の3社。

 メトロールは英語やドイツ語、中国語など多言語のWebサイトを構築し、精密部品を世界17カ国の顧客企業に直販している。生産管理システムを駆使することで、短納期生産を実践。主力製品である工業用スイッチは、標準在庫があれば1週間以内に世界各国に配送できる体制を整備した。生産性の向上とグローバル化において、成果をあげている点が評価された。

 小林製作所は、受注から図面検索、生産計画の指示、進捗管理、原価管理などの情報流通を自動化した。また、全従業員の作業状況をWebカメラで記録し、品質改善や技術の継承、スキルアップに役立てている。こうした総合的なIT活用が業績にも大きく貢献している点が評価された。

 モトックスは、スマートフォンとAR(拡張現実)を活用し、ワインのラベルやARマーカーに端末をかざすだけで、ワインやワイナリーの情報を画像や動画で見ることができるシステムを開発。飲食店などへの無償提供などを通じて、ワイナリーと小売点や飲食店、消費者をつなぐ新サービスを確立した。自社の事業拡大だけでなく、ワイン市場全体の活性化も視野に入れたマーケティング戦略を実践している点が評価された。

 受賞した23件はの通り。それぞれの受賞内容は、経済産業省のWebサイトで公表されている。

経済産業大臣賞メトロール(東京都立川市)、小林製作所(石川県白山市)、モトックス(大阪府東大阪市)
日本商工会議所会頭賞印傳屋上原勇七(山梨県甲府市)、アクセス(大阪府枚方市)
全国商工会連合会会長賞まくら(千葉県我孫子市)、吉花(石川県加賀市)
全国中小企業団体中央会会長賞川嶋工業(岐阜県関市)、クロスエフェクト(京都府京都市)
情報処理推進機構理事長賞松月産業(宮城県仙台市)、ミヤコテック(京都府京都市)
ITコーディネータ協会会長賞由紀精密(神奈川県茅ヶ崎市)、西村金属(福井県鯖江市)
商務情報政策局長賞かっぺ(千葉県千葉市)、エクス(大阪府大阪市)、アスコット(大阪府大阪市)
中小企業庁長官賞キングパーツの高橋大治氏
審査委員会奨励賞ダルク(北海道石狩市)、ミズノマシナリー(富山県富山市)、ワークアップ(京都府京都市)、大宣(大阪府大阪市)、ドクター・オブ・ジ・アース(大阪府大阪市)、キングパーツ(広島県福山市)