上海にあるApple Store
上海にあるApple Store
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 中国における「iPad」の商標権をめぐる訴訟で、上海の裁判所は現地時間2012年2月23日、中国企業側の訴えを退け、米Appleのタブレット端末「iPad」の販売継続を認めたようだ。複数の海外メディアが報じた。

 この訴訟は、中国本土におけるiPadの商標権を主張する広東省深センの唯冠科技(Proview Technology)が起こしていたもので、同社はAppleのタブレット端末が商標権の侵害に当たるとして販売差し止めを求めていた。米メディア(New York TimesWall Street Journal)よると、上海市浦東新区人民法院(地裁)は23日、広東省の裁判所でiPadの商標権をめぐる審理が行われることを理由にProviewの訴えを退けた。

 Proviewは2001年に「Internet Personal Access Device」を意味する名称として中国で「iPad」を商標登録。これを2009年にAppleがProviewの台湾関連子会社、唯冠電子(Proview Electronics)から5万5000ドルで買い取った。Appleによればこのとき同社は、世界10カ国をカバーするワールドワイドの商標権を取得し、それには中国の商標権も含まれる。これに対しProview側は中国の商標権は深センのProviewが持つと主張しており、双方で意見が食い違っている。

 Appleは自社の商標権保有を主張して2010年4月に訴訟を起こしたが、昨年12月に深センの地裁は、Appleが購入した商標権には中国の商標権は含まれていないと判断。Appleの訴えを退けた。これを受けAppleが上訴しており、2月29日に広東省の高裁で審理が始まる。

 Wall Street Journalによると、今回の上海の裁判所の決定は、広東省の高裁で判断が下されるまで仮差し止め命令の決定を待ってほしいというAppleの要求に応じたもの。Proview側はこれを不服としており「再考を求める書類を裁判所に提出する」と述べている。なおこれに先立ち、広東省恵州市の地裁がProview側の主張を認めており、市内の家電小売りチェーンにiPadの販売停止を命じている(関連記事:中国で「iPad」に販売停止命令、商標権裁判でApple敗訴)。