日本マイクロソフトは2012年2月23日、パソコン春商戦向けの施策を報道関係者に説明した。パソコンの利用価値を訴求するために同社が今回注力するのは、プレゼンテーションソフト「PowerPoint」を使ったフォトブックなどの作成や、デジタルメモソフト「OneNote」の活用だ。
同社のOffice製品の中では、「Word」や「Excel」は多くの人が利用しているが、PowerPointはそれらほど使われておらず、OneNoteに至っては認知度も低いのが実情だろう。しかし、現在販売されている大手メーカー製のパソコンには、「Office Home and Business 2010」がプリインストールされていることが多い。このOffice Home and Business 2010には、PowerPoint 2010とOneNote 2010が含まれている。これらの利用を促進し、その利便性をアピールすることで、パソコンの販売にもつなげるというのが、今回の施策の狙いだ。
PowerPointについては、ビジネスでの利用だけでなく、家庭での利用を提案する。具体的には、フォトブックやフォトアルバム、ポスター、はがきなどの作成に、PowerPointを使う。そのために同社が用意したのが、「楽しもうフォトウィザード」という専用ソフト。PowerPoint 2010と連携して、フォトブックなどが簡単に作れるソフトだ。これを2012年のパソコン春モデルにプリインストールする。
同ソフトを使うと、ウィザードに従ってテンプレートや用紙の種類、利用する写真を選択するだけで、その写真を自動レイアウトしたPowerPointのスライドが出来上がる。これを用紙に印刷すれば、見栄えのするフォトブックなどが手早く作れるというわけだ。もちろんPowerPoint上でレイアウトを変更したり、文字を入力したり、写真に効果を付けたりすることも可能。同ソフトで作成したスライドをPowerPointで開くと、「フォト」という独自のタブがリボンに現れ、背景のスタイルを変えたり、写真を加工したりすることが容易にできる。テンプレートは39種類用意され、エレコム、サンワサプライ、ピクトリコなど市販の用紙やアルバム製本キットに対応する。
一方、OneNoteはテキスト、写真、音声、動画、Webページなど、さまざまなデータをまとめて管理できるソフト。紙のノートにメモ書きしたり、スクラップを貼り付けたりする感覚で、デジタル情報を収集・整理できる。同社の無料オンラインストレージ「SkyDrive」にデータを保存することで、あるパソコンで入力したメモを別のパソコンから閲覧・編集したり、スマートフォンから閲覧・編集したりできるのが利点だ。SkyDrive上のデータを他人と共有することもできる。同社のスマートフォン「Windows Phone」には標準でOneNoteのモバイル版が付属。iPhone/iPad向けにもOneNoteアプリを無料提供している。Android端末向けも既に海外では提供中で、日本語版も間もなく提供される予定という。
説明会では、慶応義塾大学 政策・メディア研究科の夏野剛 特別招聘教授からのビデオメッセージも紹介された。夏野氏は、「クラウド、コンピューター、タブレット、スマートフォンといったいろいろな技術が登場し、我々の身近に存在している。そういう時代の最終兵器がOneNoteだと思う。OneNoteを使うことで、クラウドを我々の外部脳として使える。普段気にしている情報、興味のある情報をOneNoteに記録していくことで、自分の脳を使わなくてもクラウドのメモリーを利用することができる。しかも、それを他人とシェアできるのがポイント。シェアすることで、人から新しい意見をもらい、自分の意見がよりクリエーティブになる。こうしたことが、今までは実際に時間と場所を共有しないとできなかったが、OneNoteを使うと、バーチャルにもリアルにも世界中どこにいても可能だ」と利点を訴えた。
このほか、パソコンやデジタル機器の普及を促進するための業界団体ウィンドウズ デジタル ライフスタイル コンソーシアム(WDLC)による春商戦向けキャンペーンの進捗についても説明した。キャンペーンの公式Facebookページでは、同日時点で3万を超える「いいね!」が集まり、反響は上々という。同キャンペーンでは、日経パソコンも特典コンテンツを提供しており、この春商戦でNEC、ソニー、東芝、富士通、マウスコンピューターの5社のパソコンを購入すると、WordやExcelのテクニックやWindowsのカスタマイズ術など、100ページにわたる内容を収めた「日経パソコン特別版」をPDFでダウンロードできる。