図●「JD Edwards EnterpriseOne Tools 9.1」の画面例
図●「JD Edwards EnterpriseOne Tools 9.1」の画面例
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 日本オラクルは2012年2月23日、中堅企業向けERP(統合基幹業務システム)パッケージ「JD Edwards EnterpriseOne(JDE E1)」関連の新版と新製品の提供を開始した。新版はJDE E1の技術基盤である「JD Edwards EnterpriseOne Tools(JDE E1 Tools)9.1」。主に操作性の向上を図っており、「次世代ERP製品『Fusion Applications』の機能を先取りしている」(アプリケーション事業統括本部の末兼達彦ビジネス推進部長)。新製品としては、スマートフォンからJDE E1を利用できる三つのアプリケーションを提供する。

 JDE E1 ToolsはJDE E1の技術基盤部分で、「ユーザー管理」「セキュリティ管理」「システム管理」「システム連携」に関わる機能を提供する。JDE E1はアプリケーションと技術基盤を分離した構造を採っており、製品全体としてのバージョンアップに加えて、今回のような技術基盤部分のみのバージョンアップを進めている。

 JDE E1 Tools 9.1は「iPadのようなタブレット端末の使い勝手を、PC上のビジネスアプリケーションで実現することを狙った」(アプリケーション事業統括本部ビジネス推進本部の野田由佳ディレクター)。特徴的な機能はカルーセルナビゲーションだ()。実行中のアプリケーションなどをアイコンで下部に表示し、マウスを使ってスマートフォンやタブレット端末でのスワイプと似た感覚で操作できる。

 このほか、処理の流れをアイコンで表示し、タブ操作で切り替え可能な「EnterpriseOne Pages」や、データ入力・参照中にそのデータに関する情報をポップアップ画面で表示する「Inline Visual Assist」などの機能を追加した。Inline Visual Assistについて、野田ディレクターは「従来は別の画面に切り替える必要があった。すると一時的に作業が止まってしまう。こうしたちょっとしたことの積み重ねが、作業者のストレスにつながる」と説明する。

 JDE E1 Tools 9.1における操作性の改善には1年半をかけた。その際、発想を大きく変えたという。「従来は『どのような機能が必要なのか』から出発し、その機能を扱うユーザーインタフェースを作っていった。今回は『見た目はどうあるべきか』『どう遷移していくのがよいか』から考えてデザイナーが絵コンテを書き、そこに機能を当てはめていく形を採った」(野田ディレクター)。

 スマートフォン用アプリケーションとして提供を始めたのは、(1)セルフサービスによる一般購買申請・承認を支援する「Mobile Requisition Self Service Approval」、(2)購買申請・承認を支援する「Mobile Purchase Order Approval」、(3)受注オーダーや品目・数量、価格などの情報を参照する「Mobile Sales Inquiry」の三つ。(3)を使うと、「営業担当者が『あの商品をいつ注文したのか?』などと質問を受けたときに、スマートフォンを使ってその場で情報を検索して回答できる」(野田ディレクター)。iPhone、Blackberry、Androidで利用できる。

 2009年に出荷を始めたJDE E1 9.0のユーザーは、無償でJDE E1 Tools 9.1にアップグレードできる。JDE E1 Tools 9.1単体でも販売しており、データベースやミドルウエア込みで1ユーザー当たり約60万円。スマートフォン用アプリケーションは、Mobile Sales Inquiryの場合、1ユーザー当たり約7万円となる。次世代ERP製品のFusion Applicationsは、今春にも日本で正式に登場する見込みだ。