シマンテックは2012年2月23日、大企業向けデータバックアップソフトの新版「Symantec NetBackup 7.5」(写真1)を発表した。3月6日に出荷する。新版では、増分(または差分)からフルバックアップイメージを自動生成してバックアップにかかる時間を短縮するなど、いくつかの機能強化を図った。参考価格は、62万円(税別)から。開発会社は、米Symantec。
NetBackupは、エージェント・サーバー型のデータバックアップソフトである。Windows/Linux/UNIXが混在したマルチプラットフォーム環境で利用できる。主要モジュールは三つで、(1)バックアップスケジュール管理サーバー、(2)バックアップ対象の業務サーバー(エージェント)、(3)バックアップ媒体(テープやストレージ)を接続したサーバー、で構成する。主な特徴は、エージェント側で重複排除機能を利用できることなど。
今回の新版における主な新機能は、フルバックアップイメージの自動生成によってバックアップ時間を短縮する「NetBackup Accelerator」や、NetBackupから外部ストレージのスナップショット機能などを利用できるようにする「NetBackup Replication Director」(写真2)など。一方、既存機能の拡張では、VMwareのイメージファイル(VMDK形式)からExchange Serverのデータなどの単位でデータを抽出できるようにした。
増分・差分からフルバックアップを容易に再構成可能に
新機能の一つ、NetBackup Acceleratorは、バックアップサーバーにおいて、増分(または差分)バックアップのイメージからフルバックアップのイメージを再構成できるようにする機能である。一度でもフルバックアップを作成しておけば、次回以降は一度もフルバックアップすることなく、最新のフルバックイメージを作成できる。これにより、バックアップ作業にかかる時間を短縮できる。
増分(または差分)のイメージからフルバックアップのイメージを構成する際には、重複排除においてデータの重複を検知/判断するために使っているマッピング情報を利用する。これにより、簡単な設定だけでフルバックアップイメージの自動生成が可能になる。
もう一つの新機能、NetBackup Replication Directorは、ストレージが備えるスナップショット機能やレプリケーション機能をNetBackupから利用できるようにする。まずは米NetAppのストレージで利用できるようになる。なお、外部ストレージを遠隔制御するための仕掛けとしてNetBackupが用意している連携API(OST)を利用する。ストレージ側で用意している遠隔制御モジュールがOSTを介してNetBackupと連携することで、NetBackupから外部ストレージを制御できるようになる。
仮想イメージから特定アプリのデータ単位で抽出可能に
既存機能の拡張では、VMwareのイメージファイル(VMDK形式)からファイルなどのデータを抽出するGRT(Granular Recovery Technology)を強化し、特定のアプリケーションに固有のデータを抽出できるようにした。例えば、Exchange Serverの個人メールボックスなど、ファイル単位では管理できないアプリケーション固有のデータ単位でデータを抽出できるようにした。同機能は、Exchange Server、SQL Server、SharePoint Serverの三つのアプリケーションで利用できる。
このほかの機能拡張では、バックアップイメージのレプリケーション機能を強化した。バックアップデータに加えて仮想サーバー環境のシステム情報を含めて複製を作成しておき、災害時のシステム復旧にかかる時間を短縮した。また、外部ストレージとして利用可能なクラウド型のストレージサービスを拡充し、既存の米Nirvanixに加えて、新たに米AT&T、米Amazon Web Services、米Rackspaceの3社のサービスを利用できるようにした。