「EMOBILE LTE」を発表する、イー・アクセス 執行役員副社長の阿部基成氏(左から2人目)、代表取締役会長の千本倖生氏(左から3人目)、代表取締役社長のエリック・ガン氏(左から4人目)
「EMOBILE LTE」を発表する、イー・アクセス 執行役員副社長の阿部基成氏(左から2人目)、代表取締役会長の千本倖生氏(左から3人目)、代表取締役社長のエリック・ガン氏(左から4人目)
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EMOBILE LTEとEMOBILE G4の両方に対応するモバイルルーター「Pocket WiFi LTE GL01P」(中国ファーウェイ・テクノロジーズ製)
EMOBILE LTEとEMOBILE G4の両方に対応するモバイルルーター「Pocket WiFi LTE GL01P」(中国ファーウェイ・テクノロジーズ製)
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同じく EMOBILE LTEとEMOBILE G4の両方に対応するモバイルルーター「Pocket WiFi LTE GL02P」(米エニーデータ製)
同じく EMOBILE LTEとEMOBILE G4の両方に対応するモバイルルーター「Pocket WiFi LTE GL02P」(米エニーデータ製)
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 イー・アクセス(イー・モバイル)は2012年2月22日、LTE(Long Term Evolution)方式の移動体通信サービス「EMOBILE LTE」を同年3月に開始すると発表した。

 通信速度は下り最大75Mbps、上り最大25Mbps。当初は東名阪の主要都市でサービスを展開する予定で、2012年3月末の人口カバー率は40%。その後順次エリアを拡張し、2013年3月末までに人口カバー率70%を目指す。LTEの対応端末として、モバイルルーター2機種とUSB接続のスティック型データ通信端末1機種を発売予定。料金体系の詳細は明らかにしていないが、「既存サービスと同じ月額3880円という水準を目指して調整している」(イー・アクセス 代表取締役社長のエリック・ガン氏)という。

2013年3月末に人口カバー率70%、対応端末はモバイルルーター2機種など

 当初のサービスエリアは、東京23区、千葉市、さいたま市、横浜市、川崎市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市。これらのエリアに関しては、2012年6月をめどに人口カバー率を99%にするとしている。なお、EMOBILE LTEのサービスエリア外では、下り最大42Mbps、上り最大5.8Mbpsの既存サービス「EMOBILE G4」に追加料金無しで接続可能となる。

 サービス開始当初に提供予定の端末は、「Pocket WiFi LTE GL01P」(中国ファーウェイ・テクノロジーズ製)と「同 GL02P」(米エニーデータ製)のモバイルルーター2機種。いずれも3000mAhと大容量の電池を内蔵し、連続通信時間が9時間と長いのが特徴。同時接続可能な子機は最大10台。重さはGL01Pが140g、GL02Pが123g。このほか、USB接続タイプの端末「GL03D」も2012年春に発売予定としている。LTE対応スマートフォンは、「2012年度中に発売したい」(ガン社長)としている。

 帯域制御については、「既存の3Gサービスと同様、前日に300万パケット(約360MB)以上通信したユーザーに対し、回線が混雑する夜間などに一部のプロトコルを制限する場合がある」(イー・アクセス 執行役員副社長の阿部基成氏)としている。

DC-HSDPA対応エリアでは、LTEは下り最大37.5Mbps/上り最大12.5Mbpsに

 同社はEMOBILE LTEの速度について、下り最大75Mbps/上り最大25Mbpsとしているが、当初は大半の地域で下り最大37.5Mbps/上り最大12.5Mbpsとなる見込み。これは、既存の3Gサービスとの兼ね合いで、現時点では十分な帯域をLTEに割り当てられないためだ。

 同社は1.7GHz帯で15MHz幅×2の帯域を保有しており、下り最大42MbpsのDC-HSDPA方式のエリアでは、このうち10MHz幅×2を、下り最大21MbpsのHSPA+対応エリアでは5MHz幅×2を使用済み。HSPA+対応エリアでは、LTE向けに10MHz幅×2を割り当てることができ、下り最大75Mbps/上り最大12.5Mbpsで通信できるが、DC-HSDPA対応エリアでは、LTE向けに割り当てる帯域は5MHz幅×2となり、下り最大37.5Mbps/上り最大12.5Mbpsとなる。

 阿部副社長は、「DC-HSDPA向けの帯域を削ってLTEに振り向けることは、下り最大42Mbpsのサービスに期待して契約したユーザーに対して責任を果たせないので行うわけにいかない。当面は、75Mbps対応エリアはピンポイントになると思うが、できるだけ早期に75Mbps対応エリアを増やせるよう努力していく」としている。

 ただし、同社は1.7GHz帯において5MHz幅×2の追加割り当てを求める申請を総務省に出しており、「900MHz帯と700MHz帯の議論が終わった後、早ければ2012年夏にも1.7GHz帯の追加割り当てを受けられる」(ガン社長)見込み。このため、「EMOBILE LTEの基地局では、当初から追加割り当てを見越した設計としており、免許が得られ次第すぐに電波を発信できる状況にしておく」(ガン社長)としている。追加帯域の認可が出れば、下り最大75Mbps/上り最大25Mbpsのエリアが広がることが期待できる。