写真1●米ニシラネットワークス 共同設立者で最高技術責任者(CTO)のマーティン・カサド氏
写真1●米ニシラネットワークス 共同設立者で最高技術責任者(CTO)のマーティン・カサド氏
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図1●ニシラのネットワーク仮想化の仕組み(同社のホワイトペーパーより)
図1●ニシラのネットワーク仮想化の仕組み(同社のホワイトペーパーより)
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写真2●米ニシラネットワークス 最高経営責任者(CEO)のスティーブ・ムレイニー氏
写真2●米ニシラネットワークス 最高経営責任者(CEO)のスティーブ・ムレイニー氏
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 米ニシラネットワークス(Nicira Networks、以下ニシラ)は2012年2月22日、同社が提供するネットワーク仮想化ソフトウエア「ネットワーク仮想化プラットフォーム(Network Virtualization Platform、以下NVP)」についての詳細を発表した。

 NVPは物理的なネットワーク構成にとらわれず、柔軟にネットワークの論理構成を変更するためのソフトウエア。主にクラウド事業者、通信事業者、大規模なエンタープライズなどに向けた製品である。国内では2011年に東京エレクトロン デバイス、日商エレクトロニクスなどがニシラ製品の取り扱いを開始している。しばらくは顧客以外に製品の詳細を公開しない“ステルスモード”で活動していたが、2012年2月6日にステルスモードが終了したことを受けて、22日に日本の報道関係者向けに記者発表会を開催した。上記2社のパートナーに加え、日立電線とも協力して日本市場での販売・サポート体制を強化するという。

 ニシラの共同設立者で最高技術責任者(CTO)のマーティン・カサド氏(写真1)は、サーバー仮想化技術を引き合いに出しつつ、同社製品の特徴を語った。同氏によれば、ここ10年ほどの間、コンピュータの世界では仮想化によって著しい変化があったが、ネットワークはその進化についていけていないという。

 例えばサーバー仮想化の発達によって、アプリケーションは物理サーバーの構成から自由になった。その結果、データセンターネットワークなどでは、動的に素早くサーバーリソースを変化させたり、サーバー間でアプリケーションを自由に移動させたりできるようになってきたという。ところが、「物理ネットワークの制限により、データセンター間ではアプリケーションを自由に移動させるのが難しい。また、物理ネットワークがデータセンター全体の利用効率を下げ、結果としてコストを押し上げている」(カサド氏)。

 そこで、「サーバーが仮想化されたように、ネットワークを仮想化することをゴール」(カサド氏)として開発されたのがNVPだ。

 NVPでは物理サーバー側の仮想スイッチ「Open vSwitch」同士がトンネルを張ることによって、仮想ネットワークを構成する(図1)。Open vSwitchはオープンソースの仮想スイッチで、サーバー仮想化ソフトのハイパーバイザーと連携して動作する。トンネルの構成や変更などは、「コントローラクラスタ」と呼ばれるニシラ独自の制御用のソフトウエアが一括して指示・管理している。ニシラはコントローラクラスタを制御するためのAPIを提供するため、ユーザーが利用するデータセンターの管理システムと連携させることも可能だ。