写真1●Aleri ESP 5.0の画面。SQLベースのCCLを使ってイベント処理を記述できる
写真1●Aleri ESP 5.0の画面。SQLベースのCCLを使ってイベント処理を記述できる
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写真2●米サイベースでマーケティングシニアダイレクターを務めるニール・マクガヴァン氏
写真2●米サイベースでマーケティングシニアダイレクターを務めるニール・マクガヴァン氏
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 サイベースは2012年2月21日、金融市況データなどのように刻々と流れてくるストリームデータをリアルタイムに分析してアクションを起こすソフトの新版「Sybase Aleri Event Stream Processor 5.0」(ESP)を発表した。3月下旬に出荷する。新版では、扱いやすいSQLベースの言語でイベント処理を記述できるようにした(写真1)。価格は、x86系のマルチコアCPU使用時の場合に、コアあたり420万円(税別)など。

 ESPは、CEP(Complex Event Processing、複合イベント処理)ソフトである。ストリーム型で刻一刻と流れてくる入力データに含まれるパターンをイベントとして抽出し、イベントに応じたアクションを自動的に実行する。データをいったんデータベースに格納することなく、リアルタイムに抽出/分析できる。主なユーザーは金融業界である。背景には「CEPを用いた金融商品のアルゴリズム取引が拡大している」(米サイベースでマーケティングシニアダイレクターを務めるニール・マクガヴァン氏、写真2)という状況がある。

 ESPの新版では、イベント処理(イベントの検出とアクションの実行)の記述方法として、GUIでビジュアルにルールを定義するツールに加えて、SQLを拡張したCCL(Continuous Computation Language)と呼ぶ言語を新たに利用できるようにした。SQLに慣れ親しんだデータベースユーザーにとって、より扱いやすくなった。新版ではまた、共有ディスクを用いた2ノードのHA(高可用性)クラスタ構成で利用できるようにした。このほか、算術関数、ビット操作関数、集計関数など、分析用の関数を70個以上増やした。

データ蓄積/分析ソフトでR言語を利用可能に

 なお、CEPには、イベントの検出とアクションの実行という中核機能のほかに、生データを加工して他のデータ活用ソフトに流し込む、というデータ変換の使い方がある。市況データや取引実行データを加工した後で外部のデータベースに蓄積することで、より詳細なデータ分析が可能になる。こうした、ESPと組み合わせて蓄積データの分析に役立てるためのパッケージソフトとして「Sybase RAP」がある。

 同社は今回、Sybase RAPにおいてSQL関数として利用する任意の外部関数の一つに、統計解析用のプログラミング言語であるR言語の関数を利用できることも検証したという。