米ヤフーの経営建て直しを巡って、様々な企業や投資家が動く中で、米有力ヘッジファンドのサードポイントが大株主として、4人の新任役員の選定をヤフーに求めていることが、米SEC(証券取引委員会)への申請書類から明らかになった。

 同書類によると、ヘッジファンドのサードポイント(運用額約8000億円)を率いるダニエル・ローブ代表は、この1月にヤフーの創業者であるジェリー・ヤン氏の役員辞任を受けて、再建に動き出した。すでにヤフー株の5%を取得し、大株主となっている。

 ローブ氏はヤフー再建に向けて、4人の新任役員の選定を提案している。1人目はローブ氏自身。2人目は企業再建請負人のハリー・ウイルソン氏。3人目はメディアコンサルタントのマイケル・ウルフ氏。4人目はNBCユニバーサル元CEO(最高経営責任者)のジェフリー・ザッカー氏である。

 目玉は、GEグループのNBCユニバーサルを率いたザッカー氏。ザッカー氏は大手テレビ局NBCで女性看板キャスターを中心として目玉番組を多く作り上げた人物。メディア業界にGE流の経営手法を取り入れて、高収益体質を築いた。番組制作の費用からキャスターへの原稿の受け渡しの効率性まで無駄を排することで、“どんぶり勘定”のイメージが強いテレビ局の体質を変えた。GEのジェフ・イメルトCEOも一目置く人物だ。

 ヘッジファンドがヤフーにザッカー氏の派遣を画策するのも、GE流の経営を浸透させるため。知名度の高いヤフーはかねてメディアと娯楽路線との融合に成功すれば、収益率は高まるという意見が根強かった。創業者のヤン氏が外部の干渉を嫌ったために、体質改善は進まない状況があったが、ヤン氏の辞任で一気に投資家による「企業価値向上」への動きが高まると見られる。ヤフーは独自に資本提携を模索しているが、ヘッジファンドとどう向き合うか。新たな局面を迎えている。