写真1●Dlifeのビジネス戦略
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写真2●無料/有料VODサービスの位置付け
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 ブロードキャスト・サテライト・ディズニーは2012年2月15日、BS放送チャンネル「Dlife」(2012年3月17日開局)の開局記者会見を開催した。代表取締役社長の児玉隆志氏は「三つの大きな戦略的な柱によって既存の無料放送局との差別化を図りたい」と述べ、三つの柱となる「ビジネスモデル/配信方法」「営業戦略」「編成戦略」について、それぞれ具体策を説明した(写真1)。

 ビジネスモデルと配信方法では、無料放送であるDlifeの訴求力を生かし、マルチデバイス向けのVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスを推進することを報告した。また、無料見逃しサービス「Dlifeフリーオンデマンド」と、有料の月額見放題サービス「Dlifeオンデマンド」を展開する(写真2)。無料のDlifeフリーオンデマンドでは、放送から1~2週間経った番組を配信する。「主なテレビドラマを5本から10本程度、配信したい」という。まずは「Disney Mobile on docomo」ブランドのスマートフォン向けに2012年2月下旬から先行サービスを開始する。

 有料のDlifeオンデマンドでは、40~50時間分のテレビドラマを視聴できるようにする。「例えば5本のテレビドラマを配信する場合はそれぞれ10話分が視聴できる」というイメージである。無料サービスのDlifeフリーオンデマンドでディズニーのコンテンツを幅広い顧客に露出し、コアファンには有料でより充実したサービスを提供する戦略である。会見終了後に児玉氏は、Dlifeオンデマンドの料金モデルについて「定額のサブスクリプションモデルを中心に検討している」と述べた。

広告枠の料金決定では機械式視聴率データを活用

 広告営業戦略では、グローバルスタンダードに合わせた取引形態を採用する。機械式視聴率データを活用して、広告枠の料金を決める。さらに世帯視聴率をベースにしたGRP(Gross Rating Point)のみならず、個人視聴率をベースとするTRP(Targeted Rating Point)に基づく取引を行う。「番組編成では、世帯視聴率ではなく女性の個人視聴率を上げることを目指しており、広告営業でもこれに合わせた取引形態が適していると考えた。広告主にもニーズがあるだろう」とした。

 さらにキャラクターのライセンスなどディズニーの資産とDlifeでの広告を連動させたマーケティングの提案も視野に入れている。さらにアップフロント・セールス(番組の1年分の広告枠をまとめて販売する手法)を将来的に実施したいという。「日本では馴染みがないが、米国では主流になっている。視聴率の実績が必要なので初年度はできないが、次年度以降に挑戦したい」という。

 編成戦略では、30~40歳代の女性およびその家族をターゲット層として、女性のライフスタイルに合わせて番組を編成する。例えば、夕食の準備などで忙しい夕方からゴールデンタイムの時間帯では、「ながら視聴」に適している家族向けバラエティー番組を放送するといった具合である。F2層(35~49歳の女性)を主なコアターゲットとする理由については、「この層に特化した既存放送局は存在せず、ホワイトスペースになっている」「30~40歳代の女性は家計の消費のうち70%程度で意思決定を行っているという調査結果がある。広告主にとって魅力のある層だ」などと説明した。

258万個の専用リモコンを無料で配布

写真3●Dlife専用リモコンキャンペーンの概要
写真3●Dlife専用リモコンキャンペーンの概要
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 このほかにDlife開局のマーケティング活動の一環として、Dlife専用リモコンの無料で配布するキャンペーンを2012年3月14日に開始することを報告した。チャンネル番号である「BS258」に因んで、258万個のリモコンを全国のセブン&アイグループの店舗で配布する(写真3)。

 BS参入の狙いについて、ウォルト・ディズニー・ジャパン代表取締役社長のPaul Candland氏は、「BS放送のように多くの人に接することができるプラットフォームはほかにはない」「BSには将来性があると思っている」と述べた。