米司法省(DOJ)と欧州委員会(EC)はそれぞれ現地時間2012年2月13日、米Googleによる米Motorola Mobility Holdingsの買収を承認したと発表した。また米司法省は、米Apple、米Microsoft、カナダResearch in Motion(RIM)によるNortel Networksの特許資産の買収、およびAppleによる米Novellの特定特許資産の買収についても承認し、調査を終了した。

 スマートフォンやタブレット端末の市場は競争が激化しており、特許保有企業が競合企業に対しモバイル関連の基幹技術を使わせないよう訴訟を提起したりしている。しかしそれらの技術には、第3世代(3G)通信やWi-Fiなど業界標準に準拠する上で必要な要素をカバーする標準必須特許が含まれることがあり、各国の司法当局はこうした動きが健全な市場競争を阻害する恐れがあるとして懸念している。

 今回、米司法省はAppleとMicrosoftから標準必須特許を特許訴訟に使用しないという明確な約束を得た。両社は、標準必須特許を公正で合理的かつ差別のない(FRAND:Fair, Reasonable, and Non-Discriminatory)条件でライセンス供与することも司法省に約束した。GoogleについてはAppleやMicrosoftほど明確な約束はなかったが、全般として市場競争が著しく阻害される恐れがなくなったと判断し、それぞれの買収案件を承認した。ただし司法省は、今後も業界における標準必須特許の取り扱いについて監視を続けていくとしている。

 一方、欧州委員会も、GoogleによるMotorola Mobilityの買収によって欧州経済地域の市場構図が著しく変化することはないと判断し、買収を承認した。欧州委員会もモバイル端末業界における特許の戦略的使用について、すべての市場参入者を対象に注視していくとしている。

 Googleもこれを受けて同日声明を出し、「Motorola Mobility買収完了への重要な一歩となった。これでほかのいくつかの当局の承認を待つだけになった」とコメントした。なお米メディア(Wall Street Journal)は、「GoogleはMotorola Mobilityが事業展開する中国などでも当局の承認を得る必要があり、最終決定までには数週間かかるだろう」と報じている。

[米司法省(DOJ)の発表資料]
[欧州委員会(EC)の発表資料]
[Google公式ブログへの投稿記事]