実演家著作隣接権センター(CPRA)は2012年2月9日、構成団体である日本芸能実演家団体協議会(芸団協)が知的財産戦略本部に対し、「知的財産推進計画2012」作成に向けた意見書を提出したと発表した。意見書では、「私的録音録画補償金制度の拡充及び再構築」および「アーティストの育成保護基盤の強化」の二点について意見を述べた。

 私的録音録画補償金制度の拡充及び再構築について、関係者間の合意を得ることを前提に解決を図るのではなく、「クールジャパン戦略の視点から、知的財産戦略本部の主導により、国家戦略として私的録画補償金制度の拡充・再構築を積極的に図る必要がある」という。補償金制度問題について、「文化審議会の小委員会で30回もの協議が行われたものの、結局課題の方向性さえ見出すことができなかった」「協議が行われた6年間にも、著作物のデジタル化に伴う私的録音録画の増大はますます進み、権利者が受ける不利益は看過できない深刻な状態に至っている」と指摘した。課題の解決を関係者合意に係らしめようとする従来の手法では、「これらの問題を抜本的に解決することは困難といわざるを得ない」と主張した。

 アーティストの育成基盤の強化については、映像コンテンツや音楽コンテンツあるいはライブ・コンテンツを創造するアーティスト人財の育成、保護の基盤として、「その地位に関する法的整備、社会的認識の構築が必要」とした。「コンテンツが論議されるが、アーティストやクリエーターという人財こそ究極のコンテンツであり、その育成と保護が図られなければならない」という。そのうえで、「とりわけ、芸術家保護という視点から、芸術文化政策が検討されなければならない」と主張した。

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