写真●エバーノートのゲイブ・キャンポドニーコ氏
写真●エバーノートのゲイブ・キャンポドニーコ氏
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 2月3日にデジタルガレージで開催された、米エバーノートのゲイブ・キャンポドニーコ氏によるトークセッション(写真)。テーマは、“シリコンバレー流”のユーザーインタフェース(UI)やユーザー体験(UX)、企業ブランドの構築だった(関連記事)。

 同氏の講演の後で来場者と交わされた質疑応答も実に聞き応えのあるやり取りだったので、本記事では質問内容を「デザインプロセス」「チームワーク」「フィードバック、テスト」「デザイナー個人として」の4種類に分類、主な内容を報告する。同氏の受け答えから、“シリコンバレー流”デザイナーの考え方やワークスタイルがうかがえた。

デザインプロセス

モノ作りをしているときに没頭して視野が狭くなってしまうことがある。そのようなとき、作品を客観的にみるには、どうすればよいか?

 “少し下がってみる”ことだ。近くで見たときに気付かなかったいろいろなことに気が付く。もう一つは、外部の人に見せること。自分たちでは考えていなかったものを教えてくれる。

企業ロゴを選ぶプロセスを詳しく教えてほしい。インタビューしたのか。それともアンケートをとったのか?

 二つの段階があった。最初は、自分でできるだけアイデアを出して、自分で絞り込んでみた。次の段階では、最終決定する社内のチームに見せて決めた。社内で決めるのは外部の組織の意見を聞くよりも難しいことがあるが、多くの意見があるとよくないと考えた。社内で決めるリスクはあるが、より良いものができると思っている。

講演ではロゴ作成の際に「流行は追わないように」という話があった。長く残るロゴを作るときにどのようなことを考えたか?

 シンプルにしたときに、それでも面白くて記憶に残るものなのか、と考えた。アプリのアイコンにチェックマークが多用されているという話をしたが、色や飾りを取り除いてみると、チェックマークはチェックマークにすぎない。例えば、ロゴが白黒だったとしても、記憶に残り、面白くなるものが必要だろう。

アイデアを考える段階で数を出すとの説明があったが、アイデアの質も高めていくことに葛藤を感じる。どちらに重点を置いているか?

 プロジェクトの段階によって違うが、まずは数を重要視する。悪いアイデアがあったとしても、それから別のいいアイデアが出てくる。数を出せば、直観的にいいものに飛んで行けるようになる。その段階になるまでに数を出していくことが必要だ。

「プラットフォームの良い市民になれ」という話があった。しかし、プラットフォームが違っても、同じ見え方をしたほうがよくないか?

 ほとんどの人は、AndroidのスマートフォンとiPhoneを一緒に使っているわけではない。だから、AndroidとiPhoneが違っているのは気にしていない。モバイルとデスクトップという組み合わせで使っているのであれば、両者は違っていて当然と思っている。

「没入するデザイン」(immersive design)の考えとして、本来のコンテンツを前面に見せるということだった。「このボタンをクリックして」など、次に何をすべきかを文章で教える方法もあると思うが、この点についてはどう考えるか?

 考え方としては、必要な場面と時だけ情報を出すということになる。新しくアカウントを取得した人には、最初の3枚のノートを作るときだけ説明を出して、その後は出さないようにする。例としては、最初の段階ではリストの下にタグをつけて、タグで情報を見せる、たくさんノートが作った後は、タグは見ないで済む。こういうやり方を採用している。