写真●米Atlantis Computingでマーケティング担当VPを務めるSeth Knox氏
写真●米Atlantis Computingでマーケティング担当VPを務めるSeth Knox氏
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 ネットワールドは2012年2月6日、仮想デスクトップ環境(VDI)の体感性能をストレージI/Oの削減によって高めるアクセラレータ装置「Atlantis ILIO」(関連記事)の新エディション「Atlantis ILIO Diskless VDI」を発表した。同エディションでは、複数ユーザーで仮想デスクトップイメージを共有する使い方に限られる一方で、RAMディスクによって性能とコスト効率をさらに高めている。メモリーを大量に積んだPCサーバーとセット販売する。販売/出荷時期は、2012年3月下旬。

 前提となるAtlantis ILIOは、仮想デスクトップイメージを格納しているストレージの前段に配置することで、ストレージI/Oを最大で10分の1に削減する高速化装置である(形態はVMware仮想アプライアンス)。ユーザー当たりのストレージコストを低く抑えながら、VDI環境の体感性能を高められる。VDIシステム(VMware View/Citrix XenDesktop)からは、Atlantis ILIOがストレージ(NFS/iSCSI)に見える。

 Atlantis ILIOがストレージI/Oを削減する仕組みは、大きく三つ。(1)アクセス手法の改善(仮想環境に特有の、4Kバイトなどの細かい単位でのランダムアクセスを、最大64Kバイトのシーケンシャルアクセスに置き換える)、(2)Windows NTFS向けのライトキャッシュ(NTFSのI/Oを削減する)、(3)重複排除機能(ストレージ全体での重複をインラインで排除する)---である。

 今回の新製品、Atlantis ILIO Diskless VDIは、ハードディスクの代わりにRAMディスクに仮想デスクトップイメージを格納するエディションである。ハードディスクと比較して、ストレージ性能が高まり、初期導入/運用コストが減るとしている。「Windows 7が、たったの7秒で起動する。ハードウエア導入費用も、1ユーザー200ドルで済む」(米Atlantis Computingでマーケティング担当VPを務めるSeth Knox氏、写真)。

メモリー拡張機能を持つCisco製PCサーバーとセット販売

 CPU当たりのメモリー容量が大きいPCサーバー「Cisco UCS」(ブレード型のUCS B230 M2の場合に、CPUコア×20、メモリー512Gバイト)と組み合わせたシステム製品「推奨構成パック」として販売する。ユーザー規模により、100人まで、500人まで、1000人までの3種類のシステム構成を用意する。価格(税別、以下同)は、ハードウエア費用が、1ユーザー当たり2万円程度(仮に高性能なハードディスクを使った場合をネットワールドが試算した金額は3万~4万円)。ソフトウエア込みの費用が、1ユーザー当たり6万円程度(同7万5000~8万円)。

 Atlantis ILIO Diskless VDI単体のライセンス価格は、25ユーザーで26万2500円。提供ライセンスは、複数ユーザーで共通の仮想デスクトップを流用する「ノンパーシステントユーザライセンス」に限られる。一方、ストレージに任意のハードディスクを利用する既存エディション「Atlantis ILIO 2.0」(ネットワールドが2011年9月に発表)の価格は、ユーザーごとに個別の仮想デスクトップを割り当てる「パーシステントユーザライセンス」の場合で25ユーザー37万2000円。「ノンパーシステントユーザライセンス」の場合は25ユーザー24万8000円。