米Facebookがモバイル広告事業を始める見通しだと米英メディア各社が現地時間2012年2月5日に報じた。Facebookは2月1日に上場申請の書類を米証券取引委員会(SEC)に提出しており(関連記事:FacebookがIPOを申請、目標調達額は最大50億ドル)、新規株式公開(IPO)実施に向けて新たな収入源を確保するための動きと見られる。

 英Financial Timesが報じた関係者の話によると、Facebookはモバイルユーザー向けに「Featured Stories」と呼ぶ広告フォーマットをニュースフィード内に掲載する計画について、すでに複数の広告代理店と協議しているという。5月と予想される上場に先駆けて、3月初旬にモバイル広告を開始する可能性が高い。ユーザーの投稿内容や「いいね」に応じて広告を表示するWebサイト向けの「Sponsored Stories(スポンサー広告)」をモバイルに適用する手法が一つの選択肢として話し合われている。

 現在8億4500万人とされるFacebookユーザーのうち、半数以上はモバイルデバイスからアクセスしている。しかしFacebookは、こうしたモバイル利用を収益に変える手段を持っていないことを認識している。同社はSECへの提出書類の中で、このままパソコンの代わりにスマートフォンからアクセスするユーザーが増加し続け、同社がモバイルユーザー向けの収益化戦略を確立できなければ、収入や決算にマイナスの影響が出る可能性があるとのリスク要素を記している。

 米New York Timesによれば、Facebookユーザーの増加が著しい地域のうちトルコ、ベネズエラ、ブラジルなどの多くの国々では、人々は主にモバイルデバイスを使ってインターネットにアクセスする。しかしWebサイトでの成功をモバイルの世界に移行することについては、Facebookだけでなく大手インターネット各社も苦戦している。多くのモバイルユーザーは、小さい画面に広告が表示されたり、広告のためにデータ速度が遅くなったりするのを嫌う傾向が高い。

 またFinancial Timesは別の記事で、Featured Storiesではビデオなどリッチメディアを組み合わせたり、位置情報に応じたコンテンツを表示したりといった可能性も挙げているが、よりパーソナライズされたモバイルマーケティングを導入する場合は、ユーザーを不快にさせないために、事前に承認を得ることが重要だと指摘している。