写真1●ワークショップの会場風景
写真1●ワークショップの会場風景
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写真2●スクラッチの操作方法とモーションセンサーの働きを体験しながら、どのようなプログラムを作成するかを決める
写真2●スクラッチの操作方法とモーションセンサーの働きを体験しながら、どのようなプログラムを作成するかを決める
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写真3●二人一組でパソコンの前に座り、相談しながら交互にプログラミングしていく。各組に一人ずつティーチングアシスタントが付く
写真3●二人一組でパソコンの前に座り、相談しながら交互にプログラミングしていく。各組に一人ずつティーチングアシスタントが付く
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写真4●体を動かしてピアノの音が出るバナナを演奏するプログラムを実行中。ちなみに、中高生には、体を動かして操作するのでスカートをはいてこないようにというお達しが出ていた
写真4●体を動かしてピアノの音が出るバナナを演奏するプログラムを実行中。ちなみに、中高生には、体を動かして操作するのでスカートをはいてこないようにというお達しが出ていた
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 理系を志向する女子中高生を対象に、プログラミング体験を通じてIT分野への関心を高めるイベントが2012年2月4日に東京都内で開催された(写真1)。

 イベントの名称は、「Scratchで体験するプログラミング・ワークショップ~のぞいてみよう!情報オリンピックの世界~」。その内容は、女子中高生が統合開発環境「Scratch(スクラッチ)」とモーションセンサー(Kinect)を使ったプログラミングを体験するというもの(関連記事)。狙いは、情報技術分野への関心を高めることと、国際情報オリンピックの認知を広めることである。

 背景には、「学生の理系離れが著しい」(津田塾大学 情報科学科 教授の来住伸子氏)、「“七五三”といわれるように、高学年に進むほど理系から離れていく」(科学技術振興機構 理数学習支援部 主任調査員 ラオちぐさ氏)ことへの教育関係者およびIT業界団体の危機感がある。ここで言う七五三とは、小学生では理系好きが7割なのに、中高と進むにつれて、その割合が5割、3割と減っていくことを表している。

 ワークショップの参加者は、中学1年生から高校3年生までの女子中高生17人。サイバー大学 客員教授の阿部和広氏が講師を務めた。初めてプログラミングする人に配慮して、阿部講師は次のような分かりやすい説明でKinectプログラミングを進めた。

 「今回は、モーションセンサーを作って、『何か』を作ってもらいます。皆さんの前にある黒い横長い棒、これがKinectという名前のモーションセンサーです。モーションセンサーは、私たちの体の動きを計測してコンピュータに伝えてくれる装置です」

 「『何か』を作る手段、これがプログラミングです。例えば、『何か』は『猫を動かす』『猫が棒に触れたらニャーと鳴く』といったものです。何かがプログラムで、プログラムは振る舞いを決めるシナリオと考えるとよいでしょう」

 「プログラミングには、小難しいイメージがあるかもしれません。しかし、今日使うプログラミング環境のスクラッチは簡単に使えます。なので、必ずできます」

 阿部講師はこのあとスクラッチの使い方を説明。参加者は基本操作およびプログラムを形作るブロック(命令)の役割を、実際に動かして体験しながら学んでいく(写真2)。二人一組で、Kinectのつながったパソコンの前に座り、相談しながら交互にプログラミングを進めていった(写真3)。

 開始から1時間半程度で、体を動かしてピアノを演奏するプログラムができるなど、ワークショップは順調に、和気あいあいとした雰囲気で進行した(写真4)。最後に各組が作成したプログラムの中から、最も面白かったプログラムが参加者の投票により選出された。

 3時間半ほどのワークショップだったが、参加者はプログラミングを楽しんだようである。参加者の主な意見は、「家でもやってみたいと思った」「思っていたより簡単で面白かった」「C言語は挫折したけど、スクラッチは視覚的に操作できて簡単だった」といったものだった。日本は海外に比べて、女性エンジニアの活躍が少ないという。こうした地道な活動が人材育成を支える一助になればと感じたイベントだった。