写真●次期社長兼CEOの平井一夫副社長(左)とハワード・ストリンガー会長兼社長CEO(右)
写真●次期社長兼CEOの平井一夫副社長(左)とハワード・ストリンガー会長兼社長CEO(右)
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 「ソニーの将来のためには多くの痛みを伴う判断があると考えている。それに臆していては一歩も前に進めない。覚悟を持ってやり遂げる」。2012年2月2日、4月1日付けで社長兼CEO(最高経営責任者)に昇格するソニーの平井一夫副社長はこう強調した(写真)。

 平井副社長は主流のエレクトロニクス部門の経験が無い。この点を不安視する声について、平井副社長は「エレクトロニクスビジネスを自分なりに勉強してきた」とし、「問われるのは実行力」と語った。

 会見で平井副社長は今後、テレビ事業の再建や中核事業の強化、事業領域の再構成、技術革新の加速にトップとして注力していく考えを示した。懸案のテレビ事業については、2011年12月に韓国サムスン電子との液晶パネルの合弁を解消したことに触れ、「年間で500億円のパネル購入費の削減効果を見込める」(平井副社長)と話した。

 今回の人事でハワード・ストリンガー会長兼社長CEOは会長専任となり、2012年6月に取締役会議長に就く(関連記事)。ストリンガー会長兼社長CEOは「(今が)世代交代をすべき時期」と語り、平井副社長を「ソニーのリーダーたるべき人」と評した。

2200億円の最終赤字へ

 ソニーは同日、2012年3月期の連結業績予想を引き下げ、最終損益が2200億円の赤字になる見通しを発表した。最終赤字は4期連続。2011年11月時点では900億円の赤字を見込んでいた。

 売上高と営業利益の見通しは、それぞれ6兆4000億円と950億円の赤字と、前回予想からそれぞれ1000億円、1150億円引き下げた。

 2012年4~12月期の実績は、売上高が前年同期比12.6%減の4兆8927億8600万円、営業利益は前年同期の2731億8900万円から一転、658億6300万円の赤字となった。