欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は現地時間2012年1月31日、韓国Samsung Electronicに対して競争法(独占禁止法)に関する正式調査に乗り出したことを明らかにした。Samsungは不当な訴訟を起こすことで市場競争を妨げた疑いがもたれている。

 2011年にSamsungは、EU加盟国の各地で複数のモバイルデバイスメーカーを特許侵害で訴えた。同社が侵害されたと主張する一部特許は、欧州の携帯電話標準化に不可欠な特許として宣言されているもので、同社は1998年に、公正で合理的かつ差別のない(FRAND:Fair, Reasonable, and Non-Discriminatory)条件のもとで他社にライセンス供与することを欧州電気通信標準化機構(ETSI)に約束している。ECは、Samsungの訴訟が標準必須特許の宣言に反する疑いがあるとして、本格的な調査を行う。

 ECは2011年11月に、Samsungが米Appleを相手取って起こした特許侵害訴訟に関して詳細な情報の提出を求め、予備調査を進めていた(関連記事:AppleとSamsungの特許係争、欧州競争当局が調査へ---米英メディアの報道)。両社はスマートフォンやタブレット端末の特許を巡って世界各国で訴訟合戦を繰り広げており、Samsungはドイツ、フランス、イタリアなどの裁判所にAppleを提訴している(関連記事:Samsung、「iPhone 4S」の販売差し止め申し立て、仏と伊で)。

 なお両社の係争を巡っては、ドイツのデュッセルドルフ上級地方裁判所が、Samsungのタブレット端末「Galaxy Tab 10.1」の差し止めを命じた下級審の判断を支持する決定を下したと、米メディア(InfoWorld)が報じている。Appleは自社のタブレット端末「iPad」のデザインをGalaxy Tab 10.1に模倣されたとして各国で訴訟を起こし、昨年9月にデュッセルドルフの裁判所で販売差止の仮処分を勝ち取っていた(関連記事:「Galaxy Tab 10.1」にドイツで販売差し止め命令、Samsungは控訴へ)。

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