写真●富士通の山本正已社長(左)と加藤和彦CFO(右)
写真●富士通の山本正已社長(左)と加藤和彦CFO(右)
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 富士通は2012年1月31日、2012年3月期の連結業績予想を下方修正した。連結売上高予想は前期比0.8%減の4兆4900億円(従来予想比500億円減)、連結営業利益予想は同24.6%減の1000億円(従来予想比350億円減)にそれぞれ引き下げた。従来予想は増収増益計画だった。

 下方修正した最大の原因は、タイの洪水だ。

 富士通は同日、2011年4~12月期の連結売上高が前年同期比2.2%減の3兆1720億円、連結営業利益は同85.0%減の102億円と減収減益になったと発表。タイの洪水により、「売上高が340億円、営業利益が140億円減少した」と加藤和彦・取締役執行役員専務CFO(最高財務責任者、写真)は説明した。

 特に洪水の影響を受けたのが、LSIや電子部品を軸とするデバイスソリューションセグメントだ。同セグメントの2011年10~12月期売上高は「東日本大震災直後の4~6月期を下回った」(加藤CFO)。これにより、10~12月期は同セグメントが84億円の営業赤字を計上。業績の足を引っ張った。

 さらに、国内外でのIT投資の回復遅れにより、2012年1~3月期に「大きな伸びは見込みづらい」(加藤CFO)と判断し、下方修正に踏み切った。

 記者会見した山本正已社長は「タイの洪水や欧州の問題など、外部環境による影響が非常に大きかった。だが、その外部環境をクリアできないのは、富士通の本業の強さが不足しているからだ」と述べた。厳しい外部環境は今後も続くと想定し、コストダウンを進めると強調した。