写真1●Pillar Axiom 600の外観
写真1●Pillar Axiom 600の外観
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●日本オラクル、執行役員、システム事業統括の野々上仁氏
写真2●日本オラクル、執行役員、システム事業統括の野々上仁氏
[画像のクリックで拡大表示]

 日本オラクルは2012年1月31日、SANストレージの新製品「Pillar Axiom 600」(写真1)を出荷した。2011年6月に買収した米Pillar Data Systemsの製品であり、RAIDコントローラの分散化によるスケールアウト構成やボリューム単位の細かいQoS(優先制御)といった特徴を持つ。価格(税込)は、最小構成で675万9606円。

 新製品の位置付けは、「これまで足りていなかったSANストレージの主力製品」(日本オラクルで執行役員システム事業統括を務める野々上仁氏、写真2)というもの。これまで、同社のストレージ製品の主力は、Oracle Exadata(SQL検索機能付きのストレージユニット)と、NAS(ZFSアプライアンス)だった。SANストレージは、これらを補完する製品ジャンルとなる。

 Pillar Axiom 600の特徴は大きく三つある。(1)モジュール型のハードウエア構成によって、容量と性能をスケールアウトできること(容量は最大1.6ペタバイト)、(2)ボリュームごとに細かなQoS設定ができること、(3)Oracle Exadataが採用しているカラム圧縮機能「Hybrid Columnar Compression」を利用できること---である。

 また、ハードウエアは、以下の三つのモジュールで構成する。(a)コントローラーの「Slammer」は、サーバーとの接続インタフェースとなる。キャッシュを備えるが、RAIDコントローラーは備えない。(b)ストレージユニットの「Brick」は、ドライブ群のほかにRAIDコントローラーを収容する。(c)管理コンピュータの「Pilot」は、システム管理ユニットである。1システムに1台必要になる。

分散RAIDやボリュームQoSを実装、Oracle DBのカラム圧縮も利用可

 (a)のSlammerと(b)のBrick(RAIDコントローラーと、その配下のドライブ群)は、ポイント・ツー・ポイントでハブ型に接続して利用する(1台のSlammerに接続可能なBrickは最大で32台)。RAIDコントローラーがBrick側にあるため、パリティ計算などのRAIDに関する処理がBrickの内部に閉じる。これにより、Slammerの拡張(1~4台)とBrickの拡張(1~64台)によって、特徴(1)のように、容量と性能をリニアに向上させることができる。なお、1台のBrickまたは複数台のBrick単位で物理的にパーティションを分割して複数ストレージとして利用できる。

 特徴(2)のボリュームごとに細かなQoSを設定できる点では、具体的には、ドライブの種類(SSD、高速ディスク、ニアラインディスク)や割り当てドライブ数、RAID構成(RAID 5またはRAID 1+0)などを決められるだけでなく、ストレージコントローラーにおけるI/O処理の優先度や割り当てキャッシュ容量なども設定できる。つまり、そのボリュームを利用するアプリケーションに応じて、ストレージ性能を使い分けられる。設定を容易にする仕掛けとして、Oracle Databaseなどアプリケーション別の設定テンプレートをいくつか用意している。

 特徴(3)のカラム圧縮機能、Hybrid Columnar Compressionは、これまで、利用できるストレージ製品がデータベースアプライアンスのOracle Exadataしかなかった。この機能を、汎用のSANストレージ製品としては初めて利用できるようにした。同機能を使ってデータを圧縮することで、Oracle Databaseの利用環境においてストレージ利用効率が平均して3~5倍に高まるとしている。