NTTドコモは2012年1月27日、スマートフォンの急速な普及に伴い昨年から今年にかけて通信トラブルが相次いでいることを受け、再発防止策に合計1640億円を投じると発表した。同社の山田隆持代表取締役社長は同日開催した記者会見で、一連の通信トラブルに対して陳謝。合わせて、自身は役員報酬の20%を、他5人の役員は10%を、3カ月間減額することも明らかにした。

 現在大きな問題となっている通信トラブルは大きく2種類ある。一つは2011年8月16日、12月20日、2012年1月1日に発生したスマートフォン向けインターネット接続サービス「spモード」の障害。もう一つは携帯電話網内にあるパケット交換機障害で、2012年1月25日に起こった。

 NTTドコモは計1640億円の対策費のうちspモード向けに420億円を割り当てる。具体的には2012年8月までに、同サービスのシステム基盤「MAPS」の増強やスマートフォンとの接続シーケンスの見直しなど20億円規模の対策を講じる。次いで「2015年から2016年にもやってくる“スマートフォン5000万台時代”に耐えうるネットワーク基盤を作る」(山田社長)ための抜本的な対策に約400億円を充て、2014年度末までに順次実施していく。サーバーやパケット交換機を逐次強化するだけでなく、システムの冗長構成の見直しやスケーラビリティーの高いシステムアーキテクチャの実現などを進める。

 一方、パケット交換機の障害対策費は計1220億円である。障害の原因は、スマートフォンと携帯電話網の間でやり取りしている制御信号量が予測を超えて急増し、切り替えたばかりのパケット交換機の処理能力が相対的に不足したことによる。そこでNTTドコモでは当面の対策として2012年8月までに20億円を投じ、パケット交換機のリソース配分を最適化し、全体の信号処理能力を高める予定。並行して2014年度まで計1200億円を投入し、新型パケット交換機を通じて通信データを継続的に測定・分析しながら十分な設備容量を確保していく。