写真●KDDIの田中孝司社長
写真●KDDIの田中孝司社長
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 KDDIは2012年1月26日、2012年3月期第3四半期(2011年4月~12月)の決算を発表した。営業収益は前年同期比2.9%増の2兆6454億円、営業利益は同3.3%増の3842億円となった。iPhone 4Sなどの投入による携帯電話販売の好調と、固定通信事業の大幅な利益改善が増収増益につながった。

 今回の第3四半期決算を受け、KDDIは通期の業績見通しを上方修正した。予想営業収益を期初見通しよりも900億円上乗せした3兆5500億円に変更した。営業利益は期初見通しから変更せず4750億円に据え置く。

 移動通信事業については、営業収益が前年同期比3.7%増の2兆246億円となった。携帯電話の解約率が0.56%と過去最低になった。「iPhoneをはじめとしてスマートフォンのラインアップがそろったのが大きかった」(田中孝司社長、写真)。番号ポータビリティでの純増が9四半期ぶりに携帯電話事業者トップに立った。また、第3四半期(2011年10月~12月)の端末販売では、スマートフォンが50%を占めた。

 営業利益は前年同期比6.1%減の3377億円と減益になった。ARPU(電気通信事業者にとっての1契約当たりの平均収入)の減少が響いている。前年同期が4980円だったのに対し、今期は4470円と510円の減少となっている。割賦販売(シンプルコース)とセットで提供する割引サービス「毎月割」の拡大が影響している。「シンプルコースが契約数の82%を占めるようになっており、もうすぐ下げ止まると見ている。早ければ来年度末頃にARPUが反転する見通しだ」(田中社長)とした。

 固定通信事業は営業収益が前年同期比2.5%増の6765億円、営業利益が同533.1%増の433億円となった。ネットワークコストを118億円削減したことに加え、FTTH契約数が堅調に増加して163億円の増収となったことが増収増益の主因となった。