総務省は2012年1月24日、ホワイトスペース推進会議がとりまとめた「ホワイトスペース利用システムの共用方針」を公表した (関連記事)。

 2011年12月26日に公表し意見を募集していた報告書案では、(1)地上デジタル放送、(2)特定ラジオマイク、(3)エリア型放送など、と周波数割り当ての優先順位が明記された。特定ラジオマイクは、他周波数(一次業務)からの移行であることから、新規システムであるエリア型放送より優先されるとした。この優先順位の考え方に対して、エリア放送型システムを推進する立場から、懸念や反対意見が相次いで寄せられた。

 例えばエリアワンセグシステム開発委員会は、「地上デジタル放送と特定ラジオマイクの共用条件及び特定ラジオマイクとエリア放送型システムとの共用条件は未検討。技術的条件の検討後、改めて共用方針を策定することが適当」「すでに一次業務との共用条件案が示されているエリア型放送の実現推進の妨げにならないように適切な対応を期待する」とした。またYRP研究開発推進協会は、「1.2GHz帯に一次業務として移行先を有する特定ラジオマイクのホワイトスペース利用を、エリア放送型システムなどその他のシステムのホワイトスペース利用より優先することを現時点で方針とすることは妥当ではない」という考えを表明した。

 かねてからエリア放送型システムに積極的に取り組んできた日本空港ビルデングは、「空港・駅については大変公共性が高く、現在羽田空港では公益的サービス内容で実験放送中でこの状況で放送を中断することは公共的スペースなので困難」などと訴えた。

 広島市や中国放送は、総務省のユビキタスタウン構想推進事業として採択された「平和記念公園およびその周辺地域におけるモバイル情報サービス」との関連で実施しているエリアワンセグによる情報提供を例に挙げ、既に実験局として許可を受け、「継続的に電波を発射し、混信などの問題も発生していない案件については、現システムの更新時期まで猶予するなど技術基準へ対応するための経過処置が必要」(広島市)、「混信などの問題も発生していない案件については経過処置が必要。また、地上テレビジョン放送に影響を与えていないことを前提にし、現状のサービスエリアが縮小しないよう配慮してほしい」と述べた。

 こうした意見に対しホワイトスペース推進会議の考え方として、「ホワイトスペース利用システムが共用を実現するために運用調整を行う場合の具体的な方法については、今後設置される「ホワイトスペース利用作業班(仮称)」において検討する予定」などと回答した。

[発表資料へ]