米上下院は現地時間2012年1月20日、抗議行動が相次いだオンライン海賊行為防止法案について、審議を保留することをそれぞれ明らかにした。

 米国では、海外サイトによる著作権侵害行為を防止することを主要な目的として、上院で「Protect Intellectual Property Act(PIPA)」が、下院で「Stop Online Piracy Act(SOPA)」が審議されていた。しかしこれら法案には、DNSサーバーにおけるコンテンツ遮断など「国内インターネットおよび技術企業に制約を与える手段が提案されている」として、多くのインターネット関連企業や業界団体が反発し、米ホワイトハウスも同様の懸念を示す声明を1月14日に発表した。また、1月18日には、オンライン百科事典「Wikipedia」やソーシャルニュースサイトの「reddit」が一時サービスを停止し、米Googleが議会への嘆願書の署名を促すリンクを英語版サイトに掲載するなどの抗議行動が繰り広げられた(関連記事:SOPAおよびPIPAに対する抗議行動が拡大、Facebookもあらためて反対表明)。

 上院多数党院内総務のHarry Reid議員は、「最近の動きを踏まえて」1月24日に予定していたPIPAの投票を延期すると発表。上院の判断を受け、下院法務委員会委員長のLamar Smith議員も「より広範な賛同が得られるまで」採決を延期する方針を明らかにした。しかし両院いずれも海賊行為が米国経済に与える重大な影響を強調し、引き続き米国の知的財産と雇用を保護するための法案に取り組むとしている。Reid議員は「数週間以内に妥協点に到達したい」との考えを示した。

 米メディアの報道(Wall Street Journal)によると、欧州連合(EU)欧州委員会(EC)のデジタルアジェンダ担当委員Neelie Kroes氏は、SOPAへの抗議行動を擁護するコメントをTwitterサイトに投稿。「オープンなネットの恩恵を保護するべきときに、悪法は必要ない」とツイートした。一方、PIPAを提案したPatrick Leahy議員は、採決延期の判断を「尊重する」としながらも、「オンライン海賊行為対策に時間がかかれば、それだけ米国の雇用、労働者や消費者が影響を被る」と述べている(InfoWorld)。

[発表資料(上院のプレスリリース)]
[発表資料(下院のプレスリリース)]