写真1●ローソンファームで使う新しいアンドロイド端末を持つ、ローソンの前田淳 執行役員(写真撮影:北山 宏一)
写真1●ローソンファームで使う新しいアンドロイド端末を持つ、ローソンの前田淳 執行役員(写真撮影:北山 宏一)
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●画面から野菜を選択して防除の情報を入力する(写真撮影:北山 宏一)
写真2●画面から野菜を選択して防除の情報を入力する(写真撮影:北山 宏一)
[画像のクリックで拡大表示]

 ローソンが出資する農業生産法人「ローソンファーム」は2012年3月から、農場で使うペン入力式のアンドロイド端末の本格展開を始める。千葉や大分など現在4カ所にあるローソンファームに、各5~6台ずつ新端末を配布。農薬を使って害虫や細菌などから野菜を守る「防除」の状況を畑で働く作業者に逐一入力してもらい、ローソンの東京本社で管理できるようにする。こうしてローソンファームから生鮮品を扱うローソンの店舗やローソンストア100に、野菜を安定供給するのに役立てる。

 コンビニエンスストアの店頭で棚の商品を実際に見ながら、端末から発注してもらうのと発想は同じだ。畑にまで端末を持ち込み、野菜や農薬を見ながら操作してもらうことで、入力の漏れやミスを防ぐ。現在は、2010年6月に最初に野菜の生産を始めたローソンファーム千葉で、2台の新端末を使って実証実験を進めているところである。

 新しいアンドロイド端末と、クラウドコンピューティングを利用した防除管理のアプリケーション「ネオアグリ」は、NECが開発している。端末は畑で使うことを前提に、水や土、衝撃に強い構造になっている。ファーム開拓のために全国を駆け回る、ローソンの前田淳 執行役員 CVSグループ商品・物流本部 本部長補佐 兼 生鮮部 部長は「仕組み自体は市販のスマートフォンでも開発できただろう。だが泥まみれで使うことを想定し、独自に端末を開発してもらった」と明かす。

 ただし、あくまでも防除のための管理端末であり、直接的なコミュニケーション端末ではないと説明する。「担当者は現地に赴く前に端末で数値を見ておくことになるが、農家とのコミュニケーションは現地での対話が大原則だ。そこを間違えてはいけない」と話す。

 ローソンはローソンファームの運営に当たり、今回の新端末と会計システムをセットにして規模の拡大を図っていく計画である。近く、さらに数カ所のローソンファームがオープンする予定になっている。