V-Lowマルチメディア放送の実証実験プロジェクト(関連記事)の一つである近畿地方における実験は、大阪市および阪神電鉄沿線と、加古川市で実施する。実験推進母体となる近畿V-Low実証実験協議会には、阪神電気鉄道、BAN-BANテレビ(加古川市に本社を置くケーブルテレビ局で、コミュニティ放送も運営)、エフエム・キタ(大阪市・梅田のコミュニティ放送局)、大阪市、加古川市、アイテック阪急阪神などの関係者が参画した。会員として、9社・自治体が参画する。顧問としては、神戸市外国語大学教授の芝勝徳教授が参加する。

 この地域における実験も防災・減災を強く意識した内容となっており、実験の目的として、「V-Lowマルチメディア放送を活用した非常時災害情報提供の検証」「安全安心公共コモンズとの連携を図り、情報伝達の効率化と最大化を図る手法の検証」などを挙げる。

 実験内容としては、例えば「多言語化した上で、IPDC技術を活用して避難経路、避難場所などの情報を音声だけでなく、視覚的にも理解可能かどうか検証すること」「デジタル防災行政無線を整備した場合とV-Lowマルチメディア放送を活用した場合を比較し詳細費用を明確化する」「既存の防災無線や小中学校など公共施設の音響設備と接続し端末を強制起動させ拡声器で放送するなど可能か検証する」などがある。

 自治体との連携に向けては、「新型コミュニティ放送が3セグメントで運用された場合に自治体活用を1セグメントと想定して検証」「広域ブロック放送を11セグメントとした場合に自治体専用セグメントを1セグメントにしたケースの活用放送の検証」(V-Lowは基本的に県域放送だが、東名阪では広域ブロック放送を想定している)などを挙げる。

 なおケーブルテレビ幹線による再送信を検討し、電波到達不可地域でケーブルテレビの利用も可能かの検証を予定する。また、受信端末として個別受信機や車載型受信機などのほか、駅構内などで無線LANを活用しデジタルサイネージやスマートフォン、モバイルパソコンなどに情報提供することを想定した無線LANルーター内蔵受信端末などを予定する。

 実験に向け、2012年1月に実験試験局の免許を申請し、実験期間は2012年3月~同年11月を予定する。