米AT&Tによる米Qualcommの無線周波数帯の買収計画を、米連邦通信委員会(FCC)が現地時間2011年12月22日に承認した。これによりAT&Tは直ちに手続きを進め、数日中に買収取引を完了する予定。

 AT&Tが取得するのはQualcommがモバイルTVサービス「FLO TV」に使用していた700MHz前半の周波数帯。ニューヨーク、ボストン、フィラデルフィア、ロサンジェルス、サンフランシスコの5都市におけるDブロックおよびEブロック免許の12MHz幅などが対象になる(関連記事:AT&T、Qualcommから無線周波数帯を19億2500万ドルで取得へ)。

 これらの周波数帯を使いAT&Tは、第4世代(4G)ネットワークの下り回線(ダウンリンク)容量の増強を図る。一方でQualcommは不採算事業からの撤退に伴って資産を売却できるほか、AT&Tと協力して、通信事業社向けのダウンリンク技術を開発できるメリットがある。Qualcommは新たな技術を搭載するチップセットを世界の通信事業者に向けて提供していくとしている。

 米メディア(Wall Street Journal)は、米T-Mobile USAの買収が失敗に終わったAT&Tにとって、今回買収計画が承認されたQualcommの周波数帯は重要度が増していると伝えている。これに先立ち、AT&Tの競合である米Verizon WirelssがCATV大手3社などと、高度無線サービス(AWS:Advanced Wireless Services)の周波数帯を取得することで合意するなど、通信事業者間で周波数免許の獲得競争が激化している(関連記事:AT&T、総額390億ドルのT-Mobile USA買収計画を断念Verizon、Coxから無線周波数帯を3億1500万ドルで買収へ)。

[FCCの発表資料]
[AT&Tの発表資料]
[Qualcommの発表資料]