写真●Vobileジャパンの大木充 社長(左)と林和義 執行役員 常務
写真●Vobileジャパンの大木充 社長(左)と林和義 執行役員 常務
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 動画・静止画の違法投稿コンテンツ検出を手がけるVobileジャパンは、スマートフォンなどを使って自動で映像や画像のコンテンツを認識・検索する「ACR(オート・コンテンツ・レコグニション)事業」に進出する(関連記事)。

 例えば、街角で映画の宣伝看板を見たとすると、それにVobileが開発した専用アプリを内蔵するスマートフォンを向けると自動的に上映映画館などを画面に表示する。衣服メーカーの雑誌広告ならば、ブランドや衣服の種類、さらに扱っている店舗やネット通販業者などを紹介するイメージだ。Vobileジャパンの大木充 社長は「消費者の利便性だけでなく、広告価値も高まる」と話す。映像や画像だけでなく、音楽も自動認知して、ダウンロードサイトにつなげるようにする。

 Vobileジャパンは、米Vobileの日本法人として2011年2月から本格的に活動を始めた。主力業務は、動画や静止画の違法投稿コンテンツの検出で、NHKや大手民放、映画会社などと契約している。例えば放送局が依頼者ならば、検索対象となる自局のドラマや芸能番組、さらに動画サイト、検索期間などを指定し、Vobileジャパンがそれに沿って調べる仕組みだ。「違法コンテンツを見つける確率も高く、また合法の動画を誤って違法と認識しない技術もあるので、顧客から好評を得ている」とVobileジャパンの林和義 執行役員 常務 営業本部長は話す。違法コンテンツを見つけるだけではなく、サイト運営者と交渉して掲載を停止するサービスまで手がけることも強みとなっている。

 特に米Vobileの技術が北京五輪で採用されたこともあり、中国政府や放送局からの信頼が高い。そのため違法動画が多い中国での交渉力が契約を増やす要因になっている。今後は、そのネットワークを活用して、日本の番組を中国の放送局に販売するサービスも視野に入れる。スマートフォンの普及に伴いコンテンツ市場の広がりが予想されるだけに、多様なサービスでその地位を固める考えだ。