写真●中期経営計画を発表する日本ユニシスの黒川茂社長
写真●中期経営計画を発表する日本ユニシスの黒川茂社長
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 日本ユニシスは2011年12月20日、2013年3月期から2015年3月期までの「中期経営計画(2012→2014)」を発表した。2015年3月期に連結売上高2800億円、営業利益率5.0%を目指す。2012年3月期の連結売上高(見通し)は2550億円、営業利益率(同)は2.7%を見込む。

 2011年6月に就任した黒川茂社長(写真)は、「当社はこれまで経営目標を掲げながら達成できない事態が続いていた。だが今回の目標は必達だと考えている」と強調。中期経営計画達成のためにクラウド関連事業を含めたコアビジネスの拡大に加え、社会基盤ビジネスへの進出などを重点戦略として掲げた。

 コアビジネスの拡大では、従来通り、国内企業の基幹系システム構築の支援を中心に事業を拡大していく。システム構築ではテンプレートを基に顧客に合わせてカスタマイズする形式を減らし、クラウドサービスなど顧客がそのまま利用できる形式のサービスを増やしていく。「システム構築に時間をかけるほど品質が落ちるし、スピードも遅くなる」(黒川社長)ためだ。

 クラウド関連事業は好調で、「売り上げ規模は小さいものの、前年度比で売上高が2.5倍伸びている」(角泰志専務執行役員)という。「来年以降も好調は続く」(同氏)と見ており、売り上げの拡大に貢献する見通しだ。このほか、日本企業の海外進出の支援などにも力を入れる。一方でメインフレーム関連事業は縮小を見込む。電力会社や自治体などの大型案件の解約を折り込み済みで、2016年3月期までに「粗利ベースで40億円の減少となる」と龍野隆二上席常務執行役員は説明する。

 新規事業領域では、既に着手している社会基盤ビジネスへの取り組みをさらに進める。電気自動車などの充電インフラ「smart oasis」などがその例だ。「製品メーカーとのアライアンスを進めるなどして拡大していきたい」と、黒川社長は意気込む。2015年3月期の2800億円の売上高には新規事業は含まれていないが、「100億円程度の売上高は新規事業で達成したい」(黒川社長)との目標を掲げている。

 営業利益率を向上させるために、経費の削減に着手する。社員数は、現在の9300人を8000人に減らす計画。この計画は、「自然減やグループ会社への転籍などでほぼカバーできる」(黒川社長)とみる。人事制度の改革にも着手する。「業績評価の徹底など、働きやすい会社ではなく働きがいのある会社に変える」(同)。人件費を含めた固定費の削減を進め、2015年3月期までに総経費を88億円削減する。

 事業拡大のためのM&A(合併・買収)については、「これまで当社の買収案件はうまくいっていないこともあり、当面は控えめに考えている。2015年以降については追って考える」と黒川社長は話す。一方で「他社との協業については積極的に進めていきたい」とした。黒川社長は、最終的には「連結売上高3000億円、営業利益率7%を早期に達成したい」との目標を示した。

■変更履歴
4段落目に「前月比で毎月売上高が2.5倍伸びている」とありましたが「前年度比で売上高が2.5倍伸びている」の誤りでした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2011/12/21 14:57]