衛星放送協会付属のシンクタンク「多チャンネル放送研究所」は2011年12月13日、第3回発表会を開催した。今回の発表会では、研究所のワーキンググループが多チャンネル放送についての調査結果やそれに対する考察を報告した。

 報告を行った日本映画衛星放送の平山洋一氏(多チャンネル放送研究所のCワーキンググループ所属)は、「将来の多チャンネル市場拡大に向けた次世代のテレビ視聴調査」の結果を報告した。この調査の目的は、「今の20歳前後の大学生が、有料多チャンネル放送のメインターゲットであるM2(35~49歳の男性)およびF2(35~49歳の女性)になったときに、現在のM2 とF2と同様に有料多チャンネル放送の主な視聴者になるか。もし視聴者にならないとすれば、そこにあるハードルは何か、そしてそのソリューションは何かをあぶりだす」ことという。

 2011年7月に、大学生を対象にしたグループインタビューを行った。その結果、「携帯電話機やスマートフォンで動画はほとんど見ない。テレビが一番だが、YouTubeなどの動画サイトもかなり視聴されている」「買い物をする際、費用上限を設けている人は少なく、気に入れば高額商品でも購入する」「有料放送については高額で贅沢なものというイメージが強い。実際いくら掛かるかを正確に知っている人は少ない」という結果が出た。

 次に、インターネット上で定量調査を行った。「地上波を視聴しなくなっているわけではないが、あくまで暇つぶしであり、積極的視聴ではない」「有料放送に関しては認知が仮説以上に高く、ネガティブなイメージも固定されていない」「有料放送には専門性と、地上波との差別化を求めている」「たくさんのチャンネルが見られる番組パックは半数の支持を得ている」といったことが分かった。

 このほかに今回の発表会では、衛星劇場の笹島光晴氏(所属はAワーキンググループ)が「加入者予測と多様化する今後のマーケット」についての報告を、スカイ・エーの岩本誠一郎氏(同Bワーキンググループ)は「今後の多チャンネル放送商品の考え方」に関する報告をそれぞれ行った。