米AT&Tによる米T-Mobile USAの買収計画に異を唱え、米司法省(DOJ)が訴訟を提起している問題で、AT&TとT-Mobile USAの親会社ドイツDeutsche Telekom、およびDOJは、裁判を延期することで合意した。すでに米連邦地裁に申し入れを行っており、判事も三者の要請を承認した。AT&TとDOJが現地時間2011年12月12日に明らかにした。

 これにより12月15日に予定されていた審問は1月18日に延期される。またAT&T側は1月12日に、このまま現在の買収計画を進めるか、代替計画を進めるかを決めて報告書を提出しなければならない。米連邦通信委員会(FCC)への認可申請についても日程を含めた計画内容を説明しなければならない。AT&Tはこれについて、「Deutsche Telekomと協力し、顧客、株主、従業員にとって最良の解決策を見つけたい」とコメントしている。

 AT&TによるT-Mobile USAの買収計画をめぐっては、DOJが独占禁止法違反に当たるとして提訴しているが、FCCも聴聞会を開く意向を示すなど買収阻止に向けて動き出した。このためAT&TとDeutsche Telekomは「司法省との訴訟に注力する」ことを理由に、FCCへの認可申請をいったん取り下げた。両社はDOJとの訴訟に勝訴し、独禁法違反に抵触していないことを認めてもらった後、FCCから認可を勝ち取る考えだった。

 しかし、これについて連邦地裁のHuvelle判事は「裁判終了後にAT&Tが契約内容を変更する可能性があり、その場合はこの裁判の意味がなくなり、時間と税金の無駄になる」などと懸念を示していた(関連記事:AT&TのT-Mobile USA買収計画に新たな障壁、DOJが訴訟の延期/取り下げを検討中)。

[AT&Tの発表資料]
[米連邦地裁の命令書(PDF書類)]