今年7月に発生したタイの洪水の影響で日本国内の年末商戦でも、ハードディスクドライブ(HDD)などのPC・デジタル家電の一部で売り上げが大きく減少していることが、調査会社のBCNが2011年12月7日発表した主要家電量販店の集計で分かった。

 実売データ集計の「BCNランキング」によると、「外付け」や「ベアドライブ」などを合算したHDD全体の販売台数の前年同週比は11月最終週で40.2%減。11月第1週に一気に減少し、その後最大で51.2%減まで落ち込んだが、直近ではやや持ち直した。タイ現地では、関連部品工場なども被害を受けており、供給不足による売上減はしばらく続く見込み。

 また、HDDを搭載する代表的な機器であるパソコンについては、11月最終週で29.5%増と好調に推移。当面のHDD在庫を確保しているメーカーが多く、今のところパソコン本体の販売に直接の影響は見られない。しかし、年明け以降もHDD供給不足が続く見通しで、来年3月の商戦期への影響は不透明という。

 レンズ交換型デジタルカメラは、ミラーレス一眼の拡大などで好調が続いていたが、11月最終週に同9.5%減と前年割れ。特に、ニコンとソニーの主力工場が被災し、ニコンはシェアが一時、25.1%(11月第1週)から17.8%(11月第2週)まで落ち込んだ。ソニーも18.5%(10月第2週)から10.3%(11月最終週)まで減少した。両社とも代替工場で生産再開しているが、通常の生産規模に戻すまで2~3カ月程度かかる見通しだ。

 このほか、インクジェットプリンターは、キヤノンの工場が被災したため、メーカーシェアが大きく変動した。同社のシェアは49.1%(9月第1週)から27.7%(11月最終週)まで縮小。一方で、エプソンが53.8%まで拡大した。