写真●JA福岡市が公開した「LibreOfficeで始めるオープンソース」
写真●JA福岡市が公開した「LibreOfficeで始めるオープンソース」
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 JA福岡市は2011年12月6日、オープンソースのオフィスソフトであるLibreOfficeを導入したことを明らかにした。JA福岡市では約400台のパソコンを使用している。そのうち7割でMicrosoft Office(MS Office)を今後新たに購入しないことで、約840万円のコスト削減を見込んでいる。JAでオープンソースのオフィスソフトを導入した事例は全国初と見られる。

 LibreOfficeは、OpenOffice.orgから派生したオフィスソフト。OpenOffice.org開発コミュニティのメンバーがOracleから離れ設立した非営利団体Document Foundationが開発している。JA福岡市では、OpenOffice.orgではなくLibreOfficeを選択した理由として「MS Officeとの互換性がLibreOfficeのほうがより高かったことと、開発元のDocument Foundationの体制を評価したこと」をあげている。

 またオフィス文書フォーマットとしてODF(OpenDocument Format)を採用した。ODFはISO(国際標準化機構)およびJIS(日本工業規格)によって標準規格として承認されている、XMLベースの文書フォーマット。JA福岡市では「これまでは、何年も前にパソコンで作成した文書を編集しようとしても、最新のオフィスソフトでは取り扱えなくなるケースがあったが、国際標準規格のODFを採用することでこういった事態を避けることができる」としている。OpenOffice.orgを導入している会津若松市や四国中央市、大阪府交野市などがODFを標準フォーマットに採用している。

 JA福岡市は3年ほど前から会津若松市の取り組みなどを参考に、オフィスソフトおよび文書フォーマットの移行を検討していた。使用している文書ファイルの互換性などを検証、2011年春にLibreOfficeの導入を決定した。レイアウト崩れなどが発生する一部の書式などをODF向けに修正し、このほど正式に発表した。

 導入にあたってはOpenOffice.org日本ユーザー会のメンバーなどが執筆した書籍を約70冊購入したが、そのほかに講習費用などはかかっていないという。またJA福岡市では、LibreOfficeの説明や導入の目的、よくある質問をまとめたPDF文書「LibreOfficeで始めるオープンソース」を公開している。

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