国産Linuxディストリビューションのベンダーであるミラクル・リナックスは2011年12月6日、企業向けバックアップツール「MIRACLE System Savior」を発表した。MIRACLE System Savior(MSS)は、システムを丸ごとバックアップ/リストアするタイプの製品。Linuxと各種オープンソースを組み合わせて作っており、各種OSやクラスターソフト、仮想化ソフトに対応、SAN(Storage Area Network)など複雑なハードウエア構成でも利用できるのが特徴だ。日本ヒューレット・パッカード(HP)をはじめ、ミラクル・リナックスのパートナーを介して12月19日に販売開始する。
「OS、オープンソース、開発力といった3つの強みを生かした製品」と同社、児玉崇 代表取締役社長は述べる(写真1)。台湾で開発されたオープンソースのバックアップツール「CloneZilla」を使い、Linuxディストリビューション「CentOS 5.7」を組み合わせて企業向けにX86-64アーキテクチャーに対応したり、独自の機能を追加したりしている。
MSSは、CDから起動する“Live CD”の形で提供される。バックアップ対象のシステムがオフラインの状態で、CDからMSSを起動し、該当ディスクをマウントしてブロック単位でバックアップ対象を指定する(写真2)。そのため、バックアップ対象として各種OSに対応しやすく、Windowsだけでなく、Linuxでも利用できる。
Linuxでは、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)、SUSE Linux Enterprise Server、CentOSをサポート対象とする。「既存のシステムバックアップのツールは対象OSやシステム構成を限定しつつ、その分、GUIやオンラインバックアップの機能が進んできた。MSSでは、オフラインだけで利用するものだが、Linuxやクラスターソフト、仮想化ソフトをはじめ複雑なシステム構成で利用できるようにした」(同社のシステムエンジニアリング本部 鈴木庸陛 本部長)。仮想化ソフトとしては、Hyper-V、VMware ESX、Xen Server、KVMに対応している。
MSSは、日本HPと組んで限定的に2010年初頭から提供済みで、既に大手企業だけでも20社以上の導入実績があるという。今回、一般的に提供開始したのは、「HP社のプラットフォームだけでは惜しいので、多くのプラットフォーム向けに広めたい」と、元々日本HPに在籍中からMSSの企画にかかわってきたMKTインターナショナルの赤井誠 代表取締役社長は述べる。
今回提供するバージョンは「V1R4」。本バージョンでは「VMware vSphere 5」対応やHP社のI/O仮想化技術である「HPバーチャルコネクト」に対応した点が新しい。来年4月には、RHELの新版をバックアップ対象にできる「V2」を提供する予定だ。
価格は、サポートの期間とレベルによって決まり、バックアップ対象1サーバーに付き、年間7万8000円(平日標準時間のみサポート)から。24時間365日対応の5年間保証付きで、36万4800円となる。