写真1●村井嘉浩・宮城県知事
写真1●村井嘉浩・宮城県知事
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写真2●奥山恵美子・仙台市長
写真2●奥山恵美子・仙台市長
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 在日米国商工会議所(ACCJ)は2011年12月5日、「東北の復興・再建---外資系企業はどのように参画出来るのか」と題したパネルディスカッションを開催した。パネリストは、村井嘉浩・宮城県知事と奥山恵美子・仙台市長の2人。東日本大震災からほぼ9カ月がたった宮城県の現状を報告すると共に、宮城県、仙台市への積極投資を呼びかけた。

 村井知事は、冒頭のプレゼンテーションで「最大の課題は雇用。ここに来た最大の目的は、会社や工場を作るなど宮城県に投資してもらうことだ」と明快に語った(写真1)。被害が甚大なだけに、宮城県には大きな需要が生まれるとし、「大きなビジネスチャンスがある」と、米国系企業からの投資を期待した。

 そのうえで、投資する際の魅力となる規制緩和について説明。例えば、土地利用では「ほとんどの規制が取り払われて自由に使えるようになった」とし、ITを生かしたスマートシティを推進する方針を示した。

 法人税の優遇については、被災者を雇用するなど一定の条件を満たすことで、「5年間は利益を上げても、利益ゼロとみなす。すなわち法人税がゼロになる」という。また、進出企業には、最大40億円の奨励金を用意しているとした。具体名こそ挙げなかったものの、「メガソーラーなど再生エネルギー関連企業が関心を持っている」と現状を紹介した。 

 続いて登壇した奥山市長は、「マグニチュード9の地震を経験した100万都市は、世界中を見てもほかにない。この経験を世界に知らせていきたい」とした(写真2)。

 続いて、仙台市による経済活性化のプロジェクトを紹介。例えば、「農と食のフロンティア」と呼ぶ取り組みでは、農地を大規模化し、農業と工業、商業が一体化した産業を生み出そうとしているという。仙台の東部地区では米から野菜への転換が進んでおり、食品メーカーが関心をもって動いていることも紹介した。

 講演後の質疑応答では、参加者から「東北地区における宮城や仙台の特徴は何か」との質問が寄せられた。これに対して奥山市長は「仙台には優秀なリサーチャーや労働者がいる」と紹介、東北大学などの高等教育機関があるほか、デザインやITなどの専門家がいることから「進出企業は、すべてを持ち込む必要がない。仙台や宮城に足りないものを持ちこんでもらうことで連携が可能だ」とした。

 村井知事は「宮城には5個の魅力がある」と答えた。具体的には、(1)人材が優秀で、しかも人件費が安い、(2)土地が安い、(3)陸海空の交通が充実していて便利、(4)夏は涼しく、冬は雪が少ないなど過ごしやすい---ことを挙げた。5番目の魅力としては、「市長と知事の仲が良い」と語って来場者の笑いを誘った。

 海外への情報発信について尋ねられた奥山市長は、「この1カ月くらいで、ようやく情報発信できるようになってきた」と言い、今後の活動として「仙台で開催される国際会議などで、同じような話をしたい」として継続的な支援を呼びかけた。