写真1●「各種移行技術によるIPv6導入~あなたのネットワークをIPv6対応に~」セッションの様子
写真1●「各種移行技術によるIPv6導入~あなたのネットワークをIPv6対応に~」セッションの様子
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 インターネット技術・構築・運用・サービスに関するイベント「Internet Week 2011」が2011年11月30日から、富士ソフトアキバプラザ(東京都千代田区)で開催中だ。11月28~29日に開催された「Pre Internet Week」と合わせ、12月2日までの開催期間中にセッションや併催イベントなどが合計30以上設けられている。主催は日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)。

 11月30日午前に開かれたセッション「各種移行技術によるIPv6導入~あなたのネットワークをIPv6対応に~」には、ジュニパーネットワークスの河野美也氏、ソニーグローバルソリューションズの平賀十志男氏、インテックの廣海緑里氏が登壇した(写真1)。河野氏の講演テーマはIPv4/IPv6共存・移行技術。IPv6普及状況とネットワーク環境の変化に触れたあと、多数あるIPv4/IPv6共存・移行技術を要素技術(デュアルスタック、トンネリング/カプセリング、トランスレーション、NAPTバインディング(+PCP))に分類。個々の技術について概要、標準化状況、使用する要素技術を説明した。そしてこれらの選択方法を「目的」「ネットワーク」「サービス形態」「IPv4/IPv6変換とNATの対応付けの場所」――の四つの観点から解説。ISP、モバイルキャリア、一般企業、コンテンツプロバイダーといった立場ごとに共存・移行技術をどのように見たらよいかなどの点にも言及した。

 平賀氏は、ソニーにおけるIPv6導入例を交えながら、IPv4ネットワークにIPv6を導入する際の課題を「移行技術の課題」「IPアドレスの課題」「ネットワーク設計上の課題」に分けて説明した。同氏は「デュアルスタックはコスト高のソリューションで、基本的にはネットワークをすべて刷新することになる。しかも刷新が終わらないと、全員がIPv6のメリットを享受できない。すぐに使い始めるには、トンネリングやトランスレーションのような移行技術を併用しつつデュアルスタックに時間をかけ持ってゆき、最終的にシングルスタックにするのが、最もコストがかからない方法ではないか。ソニーではこのシナリオの下に移行計画を立てて進めてきている」と説明。移行技術の中からトランスレーションとトンネル・カプセル化プロトコルをピックアップし、展開する際の課題と評価上もしくは使用上の注意点を解説した。またIPv6アドレスを使う際の課題と、ネットワークを設計するうえでの課題にも触れた。

 廣海氏は、「国内のIPv6サービスの利用形態の紹介」と題し、国内ですぐに導入できるIPv6サービスの情報を提供した。同氏は「IPv4アドレスが枯渇し、国内ではISPが取得済みのアドレスを融通し合って運用していくしかない状況になっている。ISP内で未割り当ての部分があっても、ここ2年くらいでなくなりそう。アドレス消費から見たIPv4のピークは2013~2014年くらいに来るのではないか。そこに向けて今年くらいから、ISPやアクセス事業者がIPv6対応サービスを提供し始めている」と解説。IPv6サービスのリストやWorld IPv6 Dayの情報を提供しているWebサイトの紹介などを交え、企業向けと個人向けの両方についてサービス提供形態を個別のサービス名を挙げながら説明した。